TO-NAが地方創生を目論み始めた大規模イベント「ふるさとフェス」。第2弾は愛媛県で開催することになった。観光のメインストリームから外れ、アイドル不毛地帯である四国を松山から盛り上げるべく、TO-NAプロデューサーのタテルとメンバーのミクが視察する。タテルの友人で俳人のまぐ拓郎が2人をガイドする。
マドンナスタジアムが突如響めきに包まれた。メンバー数名と共に現れたのはお笑いコンビ「地鶏」の元メンバー・氷田。愛媛県出身の彼が呼ばれた理由は、元料理人の経験を活かし愛媛の魚介類をふんだんに使った飯を提供してもらうためである。その過程でTO-NAメンバーもお手伝いをするのだが、氷田にやたらと強く当たられる。この様子がとても面白く、完成した料理はたいそう美味しくて氷田は終始ドヤ顔であった。タテルがこのような企画を思いついたのは、松山最高峰の店での夕餉がきっかけであった。
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松山に戻り、ホテルで再び休憩を挟んだタテルとミク。19時半に予約していた店は、四国で最も食べログの星が高い飲食店である「くるますし」。全ての食べ物の中で寿司を最も好むミクは目を輝かせ、拓郎との会話で一発ギャグのように「くるますし」を繰り出していたタテルも本家とのご対面を心待ちにする。

大街道から1つ道後寄りの停留所、勝山町が最寄りではあるが大街道からも近い。目立つ看板は無く、無機質なコンクリートの壁と木の扉のみがある。
中に入ると待機客が数名。17時からの第一部が少し長引いていたようだった。化粧室でエチケットを済ませ、5分ほどで席に案内された。

ビールやハイボールはどこでも飲めるため、四国のものを中心に日本酒を半合ずつおまかせしてもらうことにした。まずは愛媛で最も有名と思しき石鎚から、飲食店限定「愛」。びっくりするくらい濃いコクの口当たり。キャラメルやバニラなど、ウイスキーの喩えに使用されるエレメントが脳裏に浮かぶ。その後に強烈なキレが来るのも面白い。
板前は4人で回している。山葵すりおろし担当、盛り付け担当。中にはスウェーデン出身の板前もいて、本人たっての希望でこの店を修業先としたらしい。

暫くは寿司ではなく摘みが続く。まずはその日の朝に神経〆した今治のオコゼ。産卵を控え一番美味しい時期であり、1kgにもなる大きな個体。

身は勿論、皮、胃袋、肝臓、卵など、鮟鱇の七つ道具のように全身を食べ尽くす。出汁は煮凝りにして、煎り酒で全体を纏める。ムキムキの身に出汁を合わせてみると味がわかりやすい。肝臓は内臓の臭いがあるが食べてみるとあん肝のように濃厚。さっぱりとしているが要素多めであり満足感が半端ない。
タテルは例によって時間をかけて味わう。他の客が食べ終わってもなお半分くらい残っていた。
「遅いですよ!次来ちゃいます」
「おお、おう。みんな早ぇな」
「タテルさんが遅いだけです。スマホとか見ないのによくそんなゆっくり」
「全ての色を見ようとすると時間がかかる。盛り沢山だからね」
「フェスもそんな感じにしたいですね。催し盛り沢山で気づいたらもうライヴの時間だ、ってなるように」

この店で出される魚介類の殆どは愛媛県内で獲れたものである。続いてはしまなみ海道の通る今治市の大島からアコウ(キジハタ)。ストレスフリーにしてから神経〆。皮目を炭火焼きにして椀の中で火入れを完了させる。まずは出汁だけ味わう。余計な味付けは一切なし、魚本来の旨味。後に香るは柑橘(酢橘?)の香。そして身は、炭火の香りの良さに驚き声が出る。淡白な味わいを残しつつ奥には確と脂の旨味。
今回は松山のみの滞在であるが、特急に乗れば30分と少しで行くことができる今治。全国的には高品質タオルの生産地で有名だが、鉄板に押し付けて調理される焼き鳥や、シンプルながらクセになる焼豚玉子飯などのB級グルメもあれば、塩でお馴染み伯方島にはこれまた凄い寿司屋があるらしい。
「ちなみにTO-NAのお抱えパティシエも今治の出身だ」
「全然知りませんでした」
「二つ返事で出店を快諾してくれた。故郷今治の食材を使った限定のスイーツ、そして飯も出してくれるらしい」
「パティシエさんなのにお食事も?」
「ホテル時代は食事も担当してたらしい。えひめフェスでしか味わえない特別な体験を供給してくれる、ああなんて楽しみな」
「1人で盛り上がるのだけは止めてください」

日本酒も今治から、山丹正宗みなもと。こちらは米の旨味が心地良い加減に円やかであり、でもやはりキレを感じる。

続いて愛南町のチャイロマロハタ。捕獲後1日泳がせた後に神経〆し、ゆっくり温めるように火を入れた。炭温し、と言いたくなるような心地良い温かさ。そして脂がのたりのたりと舌に乗っかる。素材も良いが技術も光る。これがくるますしの魅力である。
愛南町は松山からかなり遠く、愛媛県の南西端にある。高知県に食い込むようなエリアで、豊後水道を隔てて向こう側には九州大分県が迫る。鉄道や高速道路が通っておらずアクセスは悪い。松山から向かう場合は特急で宇和島まで行き高知県宿毛行きのバスに乗り換え、所要時間は約3時間。Wikipediaの記述も寒村やら観光に力を入れていないやら散々であるが、美味い魚がわんさか獲れる海域を抱えていることはこの後しみじみ実感するものである。

二神島近海でとれた鮑をそのまま煮たものが2切れ出てきた。旨味があり、中心部の方からは噛めば噛むほど磯の香りがプンプンと。これが苦手な人は肝ソースをつけよう。臭みは無く、不思議とバターのような濃厚さでブルゴーニュの食卓を想起する。

最後はシャリをぶち込んで、これはもう美味しくない訳がない。
二神島は松山の高浜港または三津浜港からフェリーでアクセスできる。所要時間は1時間10分前後、1日5便。松山の中心街から港まで行く時間も考えると、愛南程では無いとはいえ秘境である。
「愛南町や二神島に行ってTO-NAの特製ステッカーをGETしよう、とかやったらどうだろう」
「絶妙なラインですね。行っても良いけど、フェスにフル参戦するなら前泊や後泊の必要がある」
「松山だけ訪れてもねぇ、って話」
「負担考えると、ステッカーより豪華な景品を出した方が良さそうな気がします」
「そうだな。その土地にお金を落とすようなクエストを設定して、クリアしたら何か特別感ある景品を……」

詳しい漁獲場所は秘密だが、高知県の金目鯛を藁焼きに。

焼いて休ませてを繰り返し、皮は自身の脂で揚げ焼き状態になっておりパリパリ。脂の味わい深さも相まって、誰もが美味しいと思える焼魚に仕上がっている。
「藁焼き鰹は高知のアイコンだけど、上灘でのあの香り嗅いだらえひめフェスにも欲しくなった」
「呼びましょ呼びましょ」
クールなイメージの強いミクが思わずぶりっ子口調で後押しする。彼女は魚の中でも鰹が特に好きであり、「かつお」という言葉をセクシーに発声するのが日本で一番上手い。
「その際は自慢のヴォイスで売り子やってくれ。ブースはあっという間に大盛況。5分もしないうちに1匹分が捌ける」
「やってやりますよ。藁焼きの香りをスタジアムに充満させます」
「それは迷惑だ」

摘みブロックの最後は栄螺の茶碗蒸し。鮑の出汁を注ぎ、このこ(コノワタ)を載せる。茶碗蒸しと言いつつ実態は栄螺の身と肝の擦り流し。磯香や苦味が存分に発揮されている。このこはシンプルに美味い珍味。

こうなると日本酒が止まらない。内子の七星剣純米大吟醸。吟醸香がじわじわと溢れ出し、最後はキレで〆る。
タテルの隣には同じく東京方面から来ていた1人客が座っていて、寿司をよく食べ歩いているらしく踏み込んだ会話を大将と交わす。ミクの隣には女性3人組がいて、県東部の新居浜から来ていた。
「よく来られるんですか?」
「そうですね。歳とるとあまりすること無いから、たまの楽しみで」
「今度坊っちゃんスタジアムでフェスやるんです。私達TO-NAというグループでして」
「TO-NAならテレビでよう見かけるね。何をやるって?」
「フェスです。お祭りとコンサートですね」
「愛媛の名店が多数屋台出してくださるんです」
「屋台だけでも覗いて良いの?」
「もちろんです!」
「行ってみようかしら」
寿司が始まる。シャリは客の来店時刻から逆算して拵えているとのことである。
まずは一大産地・八幡浜の白甘鯛(註:写真忘れ)。甘鯛の中でも特に高級な品種で、昆布出汁のファーストタッチ、からの見事な脂の甘み。ここの寿司が只者でない予感を初手から覚えた。
八幡浜は四国西部を代表する港町。名物の蒲鉾やじゃこ天等を載せたちゃんぽんがソウルフードとなっている。こちらも是非フェスに、と思いはするが炎天下にちゃんぽんは熱すぎる。
「去年の冷やしおでんは美味しかったですけどね」
「無茶言って作ってもらった甲斐があった。でもちゃんぽんはどうだろう。冷や出汁を美味しくできても、具材のアブラと合わない可能性が」
「難しいですよね。暑くても良いから温かいもの出すべきだと思います」

愛南町のイサキは酵素が働く温度で寝かせている。皮目を炭火で炙って。炭火の香りの中にやはり脂が溢れる。


愛南町のアオリイカはシリーズ「1日泳がせ神経〆」にて。烏賊のねっとりした感覚が持続する。酢橘により少し機械的な味わいになるのだが、烏賊の寿司とはそういうものである。
後ほど行くバーのマスターに聞いた話によると、店主は営業終了後深夜まで片付けや包丁の手入れ等をして、少し仮眠を取ったらすぐ市場に行き目利きをするらしい。そして先に述べたような泳がせやら神経〆やら下拵えをして夜の営業へ準備万端整える。
これだけ忙しくしているのだから、流石にフェスに出店してもらうのは忍びない。そもそも炎天下でシャリをベストな状態に保つのは難しいし、衛生面の不安もかなりある。ただここでの体験を何とか出し物に活かせないものかと考えるタテル。

朝獲れ真魚鰹の漬け。生で食べられるのは産地ならではこそ。漬けやあさつき、生姜汁の香りから始まり、身が淡白ではないかという不安に駆られるがきちんと脂の旨味が出るから美味しい。
「やっぱ魚が美味い。そして加工も上手い」
「今までのお寿司と全然違います。概念が変わりそうです」
「変わるさ。ただ魚切って握って出すだけの寿司とは百も千も違う」

鮪の大トロも工夫を凝らして。西国ではなかなか獲れないため女川のものを使用しているが、薄切りを2枚重ねで握る。包丁も脂が伸びるものを選んでいて、高級店でしか味わえない鮪の貫禄を覚えた。
「寿司と日本ワインって、意外と合うものなんですよ」
大将の言葉が気になって仕方ないタテル。愛媛の日本酒は初体験だからもっと色々飲みたい気持ちもあったが、ここは一旦提案に乗っかることとする。

提供されたのはなんと赤ワイン。余市より、ドメーヌ・タカヒコの一番弟子が手がけたと云うワイン。赤ワインと言いつつも輪郭は白ワインのようであり、赤葡萄の果実味を凝縮。魚と合わせれば出汁のような感覚で、生臭さを際立てるどころか寿司と寄り添うのである。欧米に迎合することなく、日本の風土・風習に合わせ軽くも趣のある不思議な飲み物。気持ちはすっかり日本ワインに傾いた。

海苔巻きとして今治の渡り蟹を手渡される。こちらはシンプルに蒸しただけで、活きの良い奴にしか蓄えられていない旨みを感じる。
「あと至上命題は、四国からのスターアイドル発掘。どういう企画やればいいかな」
四国出身アイドルとして真っ先に挙げられるのは、高知県出身の広末涼子。その他バラドルとして島崎和歌子や松本明子などが人気者となっているのだが、ここ最近は全国区で活躍するアイドルを輩出できていない四国。ここで1人でもスターアイドルを誕生させられれば、その人の人気に伴って四国に世間の目が向けられ、地域活性にも繋がるとタテルは考えていた。
「アイドルになりたい女性を募ってステージに上げるのはどうでしょう」
「なるほどね。実際にアイドルのパフォーマンスを体験してみる訳だ」
「選ばれたからにはレッスンを受けて、アイドルとしての心得を身につけてもらいます」
「手加減無し?普段皆がやってるような」
「勿論です。覚悟を持って欲しいので」
「実力をつければオーディションにも受かるようになる。愛媛から四国から、スーパーアイドル誕生の確率が高まることだろう」

愛南町ヤイトハタの腹。筋肉質であり、噛めばしっかり旨味がある。口の中で3等分して咀嚼する。

日本ワイン2杯目は大阪から、デラウェアを使用したオレンジワイン。紅茶のような洒落た味わいであり、これまた寿司に不思議と寄り添うものである。
火鉢が現れた。次に拵えられるは徳島の赤ムツ。海老を沢山食べており、軽めの脂を蓄えている。これを弱火でじっくり温め、皮目のゼラチン質を活性化させると云う。

魚の波動に合わせ真剣に焼かれたネタは脂が驚くほどスピーディーに溢れ出し、構成要素ひとつひとつを語るのが難しいくらいに良さが重なった複雑な美味しさである。
愛媛、遠くても四国の魚に拘り、その魚を美味しく食べさせる工夫を凝らす様に感動を覚えたタテルとミク。フェスでも地魚を美味しく仕上げて来場者を感動させたい。しかし神経を研ぎ澄まさないと一瞬で魅力が通り過ぎる。魚の物語を知る、火入れの様を観察する等、味わう前段階も愉しんでこその「美味しい」である。
「愛媛の魚は漁獲からの過程も見せて振る舞おう。釣り好きメンバーに漁行ってもらって、調理は…」
「昨日元『地鶏』の氷田さんが料理企画してましたね」
「ああそうだ、氷田さん愛媛出身だ」
氷田はTO-NA新メンバーだけが参加する冠番組スピンオフ回に一度出演。ミシュラン三つ星の一流日本料理店で板前として働いていた経歴を活かし、メンバーにビシバシと料理を指導していた。
「今度は先輩メンバー達も扱かれてもらおう」
「緊張してきました……」
「大丈夫。根底はあくまでもお笑いだ。釣り、料理企画をピンとして愛媛の絶品魚介料理を記憶に留める。メンバーにも来場者にも良い思い出となるだろうね」

愛南町の釣り鯵。大葉の号令で溢れ出す、産地でしか楽しめない穏やかな甘み。先述のオレンジワインが鯵の出汁感を引き出してくれて面白い。

これまた愛南町で獲れた、1kg超の大きな伊勢海老。皮を剥いて1日寝かせ甘みを出している。

これをタルタル状にして、上から高知の炭火でサラマンダーのように温める。遠赤外線で下も温まると云う。海老味噌をかけて更に一回炙る。

これだけ熱しても少しレアな箇所はあり、柔らかな食感。伊勢海老の風味がしっかり活きた1貫である。
「企画は面白そうだけど、どうやって調理の場面を届けよう」
「それですよね。その場で調理だと、屋外でやったら暑いですし」
「武道場を使いたいところだけど、料理となると厳しいか」
「最悪、調理室とか借りて中継繋ぐとかならできそうですけど」
「それはそれでいつもの番組らしい画にはなるけど、できれは皆さんの目の前で見せたいよね。交渉してみるとするか」

松山沖の津和地島より紫雲丹。雲丹らしい味わいは勿論のこと、華やかなアロマを感じる入りが特徴に思えた。
津和地島は二神島よりさらにニッチな離島である。青空レストランにも登場した新玉ねぎが名産の島。北国のイメージがある雲丹が瀬戸内で獲れるとは意外な話である。
愛媛秘境クエストの件について再考するタテル。ステッカーよりも遥かに特別感あるものとなれば、やはりメンバーが旅行する様子を収めたDVDだろうか。その土地の対象店舗で一定金額以上使ったレシートを集め特典と交換する。しかし今の時代避けられないのは転売問題である。真に欲しい人が得る前に転売ヤーが掻っ攫い高値で売り捌くのは気持ちの良いことではない。また、動画サイトへの無断転載も有り得る。
「でもやらないよりは良いんじゃないですか」
「まあそうだな」
「転売や転載は禁止、断固たる措置をとると明言しましょう。それでも発生するようならその時対処すれば良いです」
「待て待て。対処って、俺らスタッフがすることだよな?」
「……失礼しました。気楽すぎましたね」
「でも行動に移すのは大事だ。考えよう」

穴子は笹の葉で蒸す独特な調理を施しての提供。笹特有の香りの中に身のコクを感じる。

最後に水出し煎茶を注文した。明朝に訪れる予定の「霧の森」と同じ、四国中央市の新宮茶を使用している。静岡や宇治のものと違いマスカットのようなアロマは感じないが、控えめな主張の中に何とも言えない落ち着きを覚え、これが若者に流行りのチルという感覚であるとわかった。
「旅動画ですけど、特典としてのみの公開というのは勿体無くないですか?」
「だよな。ダイジェスト版だけでも屋内会場で流そうか」
「その方が街の宣伝にもなりますからね」
昨年のあきたフェスでも、メンバーが県内各地を分担して旅した映像を屋内にて上映すると、TO-NA贔屓(ファンの総称)と地元民の間で交流が行われる契機となった。後日多くのTO-NA贔屓が秋田旅行を堪能し、熊被害で冷え込みかけた経済を救った、との声もある。
「愛媛もこの調子で盛り上げましょう」
「愛媛のみならず四国全体も盛り上げたいね。そうなるとお遍路も良いな。誰にやってもらおうかな」
にやけながらミクの方を向くタテル。
「ややや、やめてください!汗だくになるの嫌なので!」
「無理強いはしない。ミクの綺麗な御御足を痛めつける訳にはいかないからね」
「足の話は止めてください!」

〆は芝海老と大和芋のギョク。大和芋により軽い口当たりとなっており、芝海老の香りが抜群に香る。
デザートや水菓子は無く、これにてコースは終了。アテで出た魚を握ってもらったり、追加の寿司を頼むこともできるのだが、無常にも満腹となってしまったため打ち止め。タテル分の会計は39,900円であった。
「すごい印象的な寿司だった。次は冬に来て鯛を食いたいな」
「そういえば無かったですね鯛」
「まあ明日鯛めし食うし問題ない。お陰で良い企画思いつけた」
「愛媛の魚介の魅力、たっぷり発信しちゃいましょう!」
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愛南のハタ夏天を知り眠る
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「はいこちらのお魚、獲ってから1日置いています。生簀で休ませることにより、漁獲時のストレスで硬くなった身を柔らかくします。早く持ってきなさい。あ、ボンて置くなエリカ君。せっかく温泉で極楽極楽してたのにまた萎縮してまうやん。地獄に堕とすつもりか。細木数子か君は」
ハラスメントじみた言動ながら笑いを交え愉快な生調理を見せた氷田とTO-NAメンバー。武道館に設置された特設キッチンにて、愛媛のイサキや烏賊、甘鯛、ハタ等を調理、チケットを勝ち取った観客に振る舞った。ただ切って焼いて出すだけでは表現できない味わいに、メンバーも観客も驚き感動したようである。
そして旅動画も無事制作された。メンバーがそれぞれ愛南、佐田岬、石鎚山、忽那諸島(二神、津和地等)、松山市内の札所を巡る様子を、フェス会場では各5分程度のダイジェスト版で上映しつつ、各2時間半程度におよぶ完全版はコピーガードのある特典DVDに収録。各地におけるスタンプラリーを制覇した者は観光協会で申請書を記入しその住所に特典DVDが届くシステムにした。その土地の訪問難度もさることながら、本気で欲しい人だけを篩にかけるため辺鄙な場所にスタンプを設置したり、お遍路の場合はメンバーが動画内で樹立した記録を超える歩数(スマホ限定)を提示するルールにした。それでも愛南町の魚に感動した者、過酷なお遍路に挑むメンバーに感情移入し追体験したくなった者、細長い佐田岬半島の先端が気になりすぎた大男芸人ゴージャスみのる等の猛者達が挑みDVDを獲得した。