人気女性アイドルグループ「TO-NA」の特別アンバサダー・タテル。この日は表参道のレコーディングスタジオでアニメ『めざせポケンモマスター』のアフレコを行っており、主人公スミレの声を担当するTO-NAメンバーのレジェと行動を共にしていた。
「オールアップです!ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!レジェ、早く終わったからちょっとお茶しようか」
「そうしましょう。美味しいお茶が飲みたいです」
「紅茶が良い?緑茶、という選択肢もあるけど」
「緑茶ですか?あまり店で飲むイメージ無いですね」
「ちょっとお高めだけど、レジェならきっと楽しんでくれると思う」
茶茶の間に入店する2人。日曜の15時で客入りは半分程度である。相変わらず、何も知らない外国人がズカズカと入店しては茶の値段に目を丸くし退店する様をよく目にする。
「秋のお勧めはモンブランです。熊本県産の和栗を使用して、煎茶に合うようシンプルかつ香りが立つ仕上がりになってます」
「俺モンブランにする。レジェはモンブラン好き?」
「モンブランは、栗よりさつまいもの方が好きです」
「そういうタイプか。でも今日でレジェを栗の虜にしてやる」
「のぞむところです!」


今回合わせる茶葉は「菫菜色」。まずは茶葉をテイスティングする。
「スミレちゃんだ!縁を感じますね」
「菫って秋の花だっけ?」
「菫は春です!」
「春か。コスモスと勘違いしていた」
「タテルさん、もっとスミレのこと知ってください。京子さんと一緒にいるのもいいですけど…」
「変な言い方するな。LOVE AFFAIRを持ちかけないでよ」
「冗談ですよ〜。でも現役メンバーの中では私を一番に好きでいてください」
「え〜、じゃあ524を一推しにする」
「真反対じゃないですか、性格が!」

一煎目の茶がやってきた。その濃さにレジェはハッとした。海苔のような旨味。でも中にはフローラルなエッセンスもいて、茶の世界の奥深さを知る。
「さっきのは冗談。リアクション見てみたかっただけ」
「私を弄んで楽しいですか?」
「楽しい。だって好きだから」
再びハッとするレジェ。
「す…き?嬉しいです〜タテルさん!」
「俺結構ぶりっ子系好きなんだよ」
「私ぶりっ子ではないんですけどね」
「自覚しないからな本物のぶりっ子は。まあ俺照れ屋だから、自ら懐に入ってきてくれる人が好きなんだ」

二煎目はキリッと冷やすことにより輪郭が生まれるが、今回はその輪郭が半分ボヤけたように感じ、これはこれで趣深い。

そして真打なるモンブランの登場。しぼりたて和栗モンブランに蜂蜜とほうじ茶の要素をプラス。まず和栗モンブランそのものの味わいが確と感じられる。
「思ってたモンブランと違う。美味しい〜これ」
「洋酒効かせたモンブランが好みじゃなかったんだねきっと。和栗モンブランは素材に素直だから、芋推しのレジェでも気に入ってもらえると思った」
「和栗モンブランの虜になりました〜」
そしてここからが茶茶劇場ならではの工夫。蜂蜜により栗の味わいが立体化して円やかになり、ほうじ茶で香ばしさを演出。栗のポテンシャルを殺すことなく存分に引き出しているのだ。この劇場におけるスイーツのレヴェルの高さを改めて実感したタテルであった。

「めざンモも好評のようだ。感動的な出逢いの1話はSNSのトレンドに載ったし、2話以降もスミレのキャラが大ウケ。9割9分レジェだよなあれは」
「まあそうなんですかね。もうちょっと控えめに生きているつもりなんですけど」
「誇張はスパイスだ、やりすぎてキモがられない程度にやろう。あ、メール来た。おお朗報だ!第2シーズン制作決定だって!」
「え〜、嬉しい!」
「第2シーズンからは神奈川出身、または所縁のあるゲストが1話につき最低1人キャスティングされます、だって」
「初回ゲストはマリノスで活躍した中澤佑二さん、第2回は保土ヶ谷出身の石塚英彦さん…豪華ですね!」
「レジェの個性あってこそのめざンモだ。俺もアフレコしててすごく楽しい。これからも頑張ろう」
「ありがとうございます♡」
「ハマが産んだぶりっ子、流石だ…」