連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』57杯目(鴨中華そば楓/京王八王子)

グルメすぎる芸人・タテルと人気アイドルグループ「綱の手引き坂46(旧えのき坂46)」のエース・京子。2人共1997年生まれの同い年で、生まれも育ちも東京。ひょんなことから出会ってしまった2人の、ラーメンと共に育まれる恋のようなお話。今宵、遂にゴールデンタイムの番組に出演。

  

〜第14シーズン:中央線沿線〜
浜千鳥の神連チャン 音程を外さず10曲歌いきれ!サビだけ(?)カラオケ

  

おかまたち軍 僕たちはキョコってる。
前回神連チャンに挑戦した際は圧倒的な歌唱力を見せつけ8連チャンを記録した、綱の手引き坂46エースメンバー佐藤京子。そんな彼女と今回一緒に挑むのは、共にラーメンYouTubeをやり人気を博している謎の芸人・ガンダッシュTATERU。同い年で気が合うという2人が、神連チャンを目指し全力歌唱!

  

タテル「あぁ、緊張する〜!」
京子「緊張するね」
タテル「京子は2回も出てるから大丈夫でしょ。むしろ俺よ。お茶の間の方々『誰?』ってなってる」
浜千鳥大吾「うん、なっとる」
タテル「みんな京子の歌聴きたいよね?俺の歌要らなくね?」
京子「大丈夫!自信持って。タテルくん歌めっちゃ上手い」
タテル「そう?エヘヘヘヘ」
浜千鳥ドアノブ「わかりやすく照れてる」
おかまたち山家「気持ち悪い」

  

天の声「奇数曲目をタテル、偶数曲目を京子ちゃんが歌うシステムです」
大吾「タテルが1曲目で失敗したら京子ちゃんの歌は聴けない?」
ドアノブ「知らん男の下手くそな歌聴いて終わり?」
山家「そんなん放送事故やん」

  

〜LEVEL1〜
①家族になろうよ/福山雅治
②世界に一つだけの花/SMAP
③青春/↑THE HIGH-LOWS↓
④告白/FUNKY MONKEY BABYS
⑤TIRO・TIRO・TIN/ペリー・キー

  

〜〜〜〜〜

  

神連チャン収録の2週間前。中央線の車内でセットリストを決める2人。
「京子、1曲目は何が良いと思う?」
「無難に『世界に一つだけの花』かな」
「中国語で歌うのってアリ?」
「ナシ。歌詞とバーが合わないでしょ」
「修学旅行で台湾行った時歌ったからさ…」
「ふざけない。神連チャン目指すんだからね」
「はーい」
「でもそれ面白そうだね。今度YouTubeでやろう」

  

八王子駅に降り立った2人。喧嘩して仲直りした際はいつもここに来て出逢った時のことを思い出す。
「あの時の俺ら、ちょっとぎこちなかったよね」
「そうだね。タテルくんなかなか心を開いてくれなかったから」
「ラーメンの経験値も低かったから、あの時はあまり美味しいと思えなかったし」
「タテルくん、成長したよね」
「そうかな?でも初めてだよ、本気で涙を流せるくらい人を好きになれるなんて」
「嬉しい♪」

  

京王八王子駅裏の路地へ、日曜の青空の下を歩くこと7分。目的の店「鴨中華そば楓」は正午にも関わらず半分程度の客入りであった。しかし2人が食べ終わる頃にはしっかり行列となっており、良いタイミングを見計らうのは難しいものである。

  

「タテルくん、『家族になろうよ』はどう?」
「歌えたらエモいけど、あれ難しいよ。徳永英明さんが2回も外してるし」
「そうなんだ。あとはあまりわからないな…」
「男性曲あまり詳しくないもんね」
「そうだね。やっぱ『世界に一つだけの花』がいいんじゃない?」
「小さい頃から歌ってるもんね。よし、それにしよう」

  

ラーメンがやってきた。まずスープを飲むと、出汁で心が落ち着く和のテイストを覚える。次に麺を啜ると、油を纏いラーメンらしいコクを感じる。静と動のコントラストに趣を察知するタテル。
豚チャーシューは肉感がありつつもしっとりしている。鴨チャーシューにはトリュフペーストが載っているが、少々鴨の臭みが脳裏をよぎる。ネギ焼きは香ばしい焼きとバルサミコのような濃い酸味を仄かに感じる興味深い仕上がりである。1杯の中に多様な味があり、それらの調和が上手くとれている。多様性を認め合える理想の社会がここにある。

  

ランチご飯として頼んだミニ鴨丼。山椒タレがかかっていて、麺の中の鴨とは違った魅力を楽しめる。肉に対してご飯の量がかなり多いため、最後は残ったラーメンのスープをかけ卓上の山椒を振りかけた。〆に相応しい上質なお茶漬けの出来上がりである。
「素晴らしい。俺の喉が喜んでいるよ」
「ちょっとよくわからないけど、タテルくんが喜んでくれるだけで嬉しい」
「いやぁ…」

  

〜〜〜〜〜

  

ナレーション「1曲目、何を選ぶ?」
タテル「ファンキーモンキーベイビーズカラ!コクハク!」
ドアノブ「ゴチのまっすーみたいな発声すな!」
京子「…」

  

ナレーション「低音パートからいきなり訪れる高音は、音を外しやすい!」
ドアノブ「あれ?着替えてる?」

  

〜ゴチのまっすー風衣装に着替えたタテル〜
ドアノブ「本当にまっすーやってる!」
タテル「京子と同じ練馬区出身の歌うまアイドル、まっすーです!」
大吾「どこがやねん」
ドアノブ「ファンに怒られろ!」

  

タテル「船越英一郎さん、モデル時代の波瑠さんが出演されているMVがエモいですよね」
京子「タテルくん、色々ツッコミたいところあるんだけど」
タテル「えっ?」
京子「まずいつの間に着替え持ってきてたの?」
タテル「神連チャンといえば着替えでしょ。林檎ちゃんとか鯱鉾さんとか」
京子「2人ともモノマネ芸人だから。タテルくんは違うでしょ」
タテル「ごめん。やってみたかっただけだ」
京子「あとさ、『世界に一つだけの花』練習してたよね?何で変えたの?」
タテル「へへッ。どうしても京子に伝えたくて、内緒で練習してました」
大吾「まさか、本当に告白⁈」
ドアノブ「公共の電波使ってすな!」
タテル「返事はゆっくりでいいから、俺の想い、聴いてください。」
大吾「何か自分の歌のように言ってるな」
ドアノブ「ファンモンさんの歌だからね!」

  

〜不安そうな顔で見つめる京子〜
山家「タテルが1人で暴走してる」
おかまたち濱内「嫌な予感しかしない」

  

〽︎熱くなる鼓動が…
濱内「あれ、結構上手い…」

  

〽︎もっと上手に…
ドアノブ「高音出やがった」

  

〽︎でもそれが全て〜
タテル「よっしゃあ!」
京子「さすがタテルくん。歌声めっちゃ染みた」
タテル「嬉しすぎるよ」
京子「思い伝わった。神連チャンしたら正式にお付き合いしましょう」
山家「え⁈それありなん?」
濱内「現役アイドルが恋愛なんてダメでしょ」
タテル「ありがとう!この後も一生懸命歌うので、応援よろしくおねがティーバッティング!」
ドアノブ「何やそれ」

  

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