連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』27杯目(一番いちばん/町田)

グルメすぎる芸人・TATERUと人気アイドルグループ「綱の手引き坂46(旧えのき坂46)」のエース・京子。2人共25歳の同い年で、生まれも育ちも東京。ひょんなことから出会ってしまった2人の、ラーメンと共に育まれる恋のような話。

  

「じゃあ今日から自腹をかけたゲーム再開!競技内容は『箱の中身はなんだろな』です」
「待って、めっちゃ嫌!」わめく京子。
「俺も動物とか嫌だ。怖い怖い」
先攻は京子。
「ちょっと待ってやだ怖い…アーーーーッ!」
「まだ手突っ込んですらいないのにこの大暴れ…」
「入れた!やだ何コレ、生温かいって!」
「昇龍拳出てるし。動き大きいな京子」
「うわぁーーーーーー!触っちゃった!」
が〜まるちょばのエスカレーターのパントマイムのように沈んでいった京子。
「大げさだな京子。そんななるわけないじゃん」
後攻のタテル。
「ギャーーー!」欽ちゃん走りをするタテル。
「いやいや、大げさ」
「ギョエーーー!」今度は床になだれ込んだ。
「タテルくんわざとらしすぎる」
「京子だってそうじゃん…」
さあ2人とも、箱の中身お答えください!
「しらたき!」
「こんにゃく!」
「正解は…しらたき!京子さん正解!自腹はタテルさんに決定!」
「おいおい、しらたきはこんにゃくの一種だろ。俺も正解だ」
「より詳しく答えた人が勝ちですよね」
「タテルさん残念でした〜」
「はーい…」

  

小田急線町田駅に集合した一行。タテルはいつものように大ボケ姿でやってきた。
「どーも!マラソン選手の大迫タテルです!三ノ輪から町田まで走ってきました!」
「ウソつかないでタテルくん。なんでそんな汗びっしょりなの?」
「走ってきたから」
「だからウソ言わない。お腹出てるからでしょ。みっともないから着替えて」

  

改めて集合した一行。
「お2人とも、すっかり夏の装いで」大石田の第一声。
「だって暑いんだもん今日」音を上げるタテル。
「だからって半袖は早くない?」
「そういう京子だってサンダルじゃん。お互いカラダぐぅジュンジュワワーだね」
「ホリケンタさんじゃん!」
「ホンマや!」
「関西弁禁止」
「ホリケンタさんの持ちネタだからセーフだろ」
「で、最初の店はどこ?」
「なんか芝生が近くにあった気がする」
「シバヒロね。俺オカンが町田出身だから大体わかるよこの辺」
「頼もしい。タテルくんもたまには役に立つのね」

  

「京子、ソロライヴまであと1ヶ月だね。歌の練習どう?」
「歌うことは楽しい。でも難しいね、思いを乗せて上手く歌うのって」
「確かにそうだよな。でも楽しみ。京子のその声、本当癒される」
「期待に応えられるよう頑張るね」

  

暑い中歩くこと10分。平日だが20人くらいの行列だった。
「いやぁ暑かった」
「やだタテルくん、すごい汗!」
「止まらないんだよ、拭いても拭いても」
「太ってるからだよ。痩せよう」

  

乾ききらないまま順番が回ってきた。
「暑いからビールも飲もう」
「ダメ!痩せようって言ったそばから何頼もうとしてるの」
「我慢できない。頼ませて」
「ダメって言ったらダメ!」
申し訳なさそうに席に着くタテル。空調の効いた店内で何とか落ち着くことができた。

  

タテルは雲呑手打生姜中華そばを注文。体が熱いのに生姜なんか載せてどうする。
白河ラーメンというだけあって、ピロピロの手打ち麺が特徴的だ。不均一な厚さ太さの麺がスープを纏い一体化する。そこに豚肉料理の域に達した焼豚と、肉がぎっしりで肉感たっぷりの雲呑。肉肉しさを生姜ですっきり味変させる。変化に富んだ満足行く1杯である。

  

食べ終わったタテルの額には再び汗が現れた。
「やだタテルくん、何でそうなるの?」
「体が火照っちゃって」
「大丈夫?次の店遠いよ?バスに乗る?」
「いや、それだと中途半端だから。休み休み行こう」

  

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