連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』39杯目(入鹿TOKYO/六本木)

グルメすぎる芸人・TATERUと人気アイドルグループ「綱の手引き坂46(旧えのき坂46)」のエース・京子。2人共97年生まれの同い年で、生まれも育ちも東京。ひょんなことから出会ってしまった2人の、ラーメンと共に育まれる恋のような話。

  

「今日はなぞなぞ対決!先に2問答えた方が勝ち!」
「京子はアホだから。余裕だね」
「やめて。ただの悪口じゃん」
「いい声してるから賢そうに見えて物知らなくて、そのくせ負け認めないところがやっぱりアホでかわ…」
「うるさいわね。早くやろう」
「最後まで聞け!」

  

「問題。つけると3つ歳をとるものはなーんだ?」
「さん…なんだ?」苦戦するタテル。
「あわかりました。いいですか。サンオイル」
「京子さんお見事!」
「あれぇタテルくん、どうしましたぁ?」
「ちょ、ちょっと眠いだけさ…」
苦し紛れの言い訳をして次の問題。
「逆さまにすると重たくなくなる海の生き物なーんだ?」
「逆から読むとなんかになるやつだから…」
「あはい。イルカ」
「京子さん大正解!タテルさん、大口叩いておいてまさかの惨敗!」
「京子ってミラクルガールだよな。どこで正解出すか読めない」
「タテルくんだって負け認めないじゃん。早く謝って」
「はい、すいませんでした…」

  

こんな態度をとるものだから、以前問題提起された「京子とタテルの人気格差」は解消されていない。むしろ拡大している。

  

京子ちゃん今日も面白い!無理してないところがいいよね
可愛い顔して強気なところにギャップ萌え!
タテルっていう糞豚マジでムカつく
典型的なヒモ男。臭そうだしマジで京子に近づいてほしくねぇ
自分は面白いって勘違いしてるイタい奴。京子のこといじめてる自覚ないのかな

  

叩かれていること自体は何となく察していたため、タテル未だにコメント欄をチェックしていない。
「コメント欄とか絶対地獄だと分かっているから読まない。俺は他人に何と言われようと京子イジりの手は緩めない」
「独りよがりになっちゃうから、ちゃんと読みな」
「俺はそういう人間だ。ブレやしねぇぜ」

  

お互い仕事があったため、15時半過ぎに改めてミッドタウンに集合した。普段は平日でも大行列ができる店だが、この日は中途半端な時間で空席が目立った。
「何?俺ってそんな評判悪い?」
「まあね。私に対する当たりが強すぎるとか」
「わかってないな。本当にけなす時は足立弁丸出しだからね」
「何それ」
「例えば『とても』は『クソ』とか『キ○○○みたいに』とか」
「そういうところだよタテルくん」
「何がよ」
「それ足立弁とかじゃなくてただ言葉汚いだけ」
「えーだってそれが足立区のイメージじゃん」
「地元バカにして面白いと思うなんて百年早いよ。もっと羞恥心持って」
「羞恥心?懐かしいね」
「しゅーちしん、しゅーちしん…大好きだったなヘキサゴン」
「京子も好きだったのか。俺も毎日口遊んでいたよ」
「さすが同い年だね…って、話そらさないで!」

  

ラーメンがやってきた。ポルチーニ醤油ラーメンという触れ込みだったが、ポルチーニはたまにほのかに香る程度で、ペーストを溶かしても香りがスープに散らばって弱体化してしまう。麺自体にも特筆すべき点は見当たらない。
鴨肉が素直に美味しく、豚と鶏の柚子風味も効果的だった。海老団子は海老特有の乾いた旨味が力強かった。だがやはりラーメン全体として見ると特徴は薄く、1800円という価格には見合っていないと2人は思った。

  

「そっか京子もヘキサゴン観てたとは。その後のはねトビも観てた?」
「観てた観てた!えめっちゃ懐かしいんだけど」
「何のコーナー好きだった?俺はギリギリッス」
「私はアブandチェンジ。いつか出たいな、って思ってた」
「京子だったら5戦全部初手で負けそう」
「何よ。ナメないで」
「じゃあ今度やろうよ」
「望むところよ」

  

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