連続百名店小説『海へ行こうよ』Fifth Step:Glass(マカンマカン/大和)

*このお店は現在閉店しております。

  

売れないグルメタレント・TATERU(25)が、綱の手引き坂46のメンバー・ヒヨリ(20)と共に、小田急江ノ島線沿線を歩きつつ名店を巡る『鉄道沿線食べ歩き旅』。

  

次のシンガポール料理店は駅から南に徒歩5分ほどの距離にある。悠然と歩いていた2人であったが、大和駅に着いた時点で13時を過ぎていた。この店は閉店時間14:00に対しラストオーダーは13:15。てっきり余裕があると思っていた2人は冷や汗をかくこととなる。
「えっ⁈ラストオーダー早っ!今何時?」
「13時…14分です!」
「入ろう入ろう!」

  

席につくと同時にラストオーダー。週替わりのスペシャルランチは限定数が終了し、海南チキンライスとマカンプレートの2択になっていた。タテルは海南チキンライスを注文した。

  

酷暑の中歩くこと3km、ヒヨリは少しやつれていた。心配したタテルが声をかける。
「ヒヨリちゃん疲れてそうだね。大丈夫か?」
「あ、大丈夫で〜す」
「無理すんなよ」
「無理してないですって!どんどん歩きましょう!」
努めて明るく振る舞うヒヨリだが、明らかに大丈夫でないことはタテルもわかっていた。しかし本人が大丈夫だと言い張る以上、タテルはこれ以上追及することができなかった。冷房の効いた空間にいて食事すれば回復するだろうなどと、(本望ではないが)たかを括るタテル。

  

海南チキンライスがやってきた。ウィーナムキーでよく食べていたものとは違って貧相に見えたが、ジャスミンライスが旨味を吸って香り高く、鶏肉の身はしっとり柔らかく茹で上がっている。生姜ソース・チリソース・甘醤油は量が少なく、一度に混ぜ混ぜしてしまうと調整が効かない。
付け合わせの2品は、甘みの強いキムチと形容できる漬物、そしてザーサイっぽさも感じるキャベツと豆腐の炒め物。海南チキンライスだけだと寂しいところ、脇に手の込んだ品があると嬉しいものである。

  

セットのサラダはステーキファミレスのサラダバーで賄えそうなものである。スープもあまり特徴がない。

  

冷たいジャスミン茶で閉店時間ギリギリまでリラックスする2人。
実はこの時点で、ヒヨリは靴擦れを起こしていた。新調したスニーカーが足に合っていなかったのだ。それでもタテルに迷惑をかけまいと、その事実をひた隠しにする。

  

次の店がある高座渋谷方面へ再び歩き出す2人。線路沿いを大きく外れることなく歩けるが、ここからは駅間が長くなる。桜ヶ丘を経て高座渋谷まで4.2kmの徒歩。高座渋谷駅に着いたヒヨリは立ちくらみを起こし、タテルは駅西口の温泉に行こうとか提案したが、なお大丈夫と言ってきかなかった。

  

ゴール江の島まであと17.3km

  

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