連続妄想食べログ小説『クイズ王街道、驀。』Q4:黒山国が見えてきた。

東大卒の肩書きを活かしクイズ番組でも大活躍するグルメタレント・TATERU(25)が、「宮崎美子の再来」と持て囃される気鋭のクイズアイドル・カゲ(綱の手引き坂46)と繰り広げる東北1泊2日の旅。

早朝。タテルはカメラを手に密密と喋る。
「おはようございまーす。クイズまっしぐらカデミー2日目でーす。早速ですが、カゲを起こしに行きますよー!」

コンコンコンコンコーン

出て来たカゲは、メイクも決め今すぐ出発できる態勢であった。
「タテルさん寝起きドッキリでもしたかったんですか?遅いですね。私早起きなんで」
「問題」タテルは自らの失敗を意に介さず出題する。イカ東の悪い癖である。
「これから山形に向かいます。どうやって山形駅に向かうでしょうか?」
「電車…じゃないんですか?」

「ボケーっと生きてんじゃねーよ!」タテルはピコちゃんのように紅潮した。
「仙台までは新幹線で、そこからは高速バス。仙山線っていう路線もあるけど、本数少ないし遅い。運賃も高い。だからバス使おう」

渋滞に嵌ってしまった。到着時刻は鉄道ルートのそれよりも遅くなった。
「鉄道は定時性があるのが強みです。通勤時間帯の移動は鉄道の方が確実でしたね。だからいつも対決旅でこけし軍曹に負けるんですよ」
カゲリスに論破されるタテル。

何はともあれ山形に着いた。東口を出て真っ直ぐ進むと、蔵王の山々が見える。黒く聳える山脈を、街の中心から見られるというのは、東京生まれ東京育ちの2人にとっては不思議な体験だった。お昼にするには未だ早いので、先に名物和菓子を買いに行く。

山田家。ふうき豆が名物の和菓子屋だ。他にも和菓子が数種類並んでいる。どれが正解の和菓子か、甄けるのも一苦労だ。
「とりあえずふうき豆とあずままんじゅうは正解だろう。他何にするか、2人で1個ずつ選ぼう」
カゲはそぼろまんじゅう、タテルは小倉山を柬けた。

近くの公園で答え合わせ。まずふうき豆は、鶯豆独特の香りが感じられいくらでも食べたくなる。


鶯豆餡を使ったあずままんじゅうもまた絶品だ。上に埋められた謎の何かの食感が面白い。

そして運命の瞬間。正解はタテルかカゲか。
まずカゲのそぼろまんじゅう。
外のそぼろ餡は少し硬いが、流石米どころ山形、餅の食感がしっかりしている。
さあタテルの小倉山はどうだ。
あんこ主体のお菓子だが、砂糖の甘みが足されており甘すぎる。あんこ自体が特り優れている訳でもない。

ということでカゲが正解。タテルはまたしても選択を誤った。この結果が、タテル主導のこの旅の行方を籤うこととなる。

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