連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』11杯目(キング製麺/王子)

グルメすぎる芸人・TATERUと人気アイドルグループ「綱の手引き坂46」のエース・京子。2人共25歳の同い年で、生まれも育ちも東京。
ひょんなことから出会ってしまった2人の、ラーメンと共に育まれる恋のような話。

  

「タテルくん、お菓子食べちゃダメ」
「えぇ、なんでよ?俺たちの部屋なんだからいいじゃん」
「この部屋の中でお菓子は禁止。太っちゃうから」
「いいじゃんちょっとくらい」
「この前フトーフロさんに『太った?』って言われてショックだったのよ。タテルくんもちょっと太りすぎだしさ、ラーメン以外は食べないようにしよう」
「まあ、いいけど…」
「で、YouTube、何やる?」
「カップルYouTuberみたいな感じかな?」
「いやいや、そこまでの関係じゃないでしょ。あっそうだ、対決系とかどう?」
「対決か…なんかゾクゾクしてきた。やってみよう!でも具体的に何やる?」
「それは…ラーメン食べに行きながら考えない?」
「そうだね。もう10時過ぎだし行くか」

  

2人は昨日と同じように、三ノ輪橋から都電に乗る。
「ツイスターとか面白いんじゃない?」
「ツイスター?距離近すぎる、ダメ!」
「じゃあジェンガとか、UNOとか、黒ひげとか…」
「全部パーティーゲーム。ベタすぎない?」
「うーん…」
「タテルくん、大ボケ野郎なんでしょ?もっと変なのないの?」
「そんなこと言われても…」そういえばタテル、第3シーズンに入ってからボケが少ない。

  

内容が1ミリも決まらないまま、王子に降り立つ。開店10分前に店に到着し、1巡目で入ることができた。
「あれ?なんか見たことあるなこのラーメン」
「あぁ、『にし乃』ね。同じグループの店なんだ」
「そうなの?あそこはたしかに美味かった。BGMがずっと希典坂の曲なんだよな。ということはここは、綱の手引き坂…」
「は関係ない。残念だけど」

  

2人は白だしラーメンを選択。トッピングは「全部入り」ではなく「ちょっとずつ」にした。
「希典坂で憧れのメンバーっている?」
「まいこやんさん。永遠に私の憧れの女性像」
「まいこやん、強いよなぁ。肌真っ白だもん。今いるメンバーだと、山田美月ちゃんとか気になる」
「タテルくん、そういう趣味なのね」
「どういうこと?」

  

ラーメンがやってきた。透き通った黄金色のスープは出汁の旨味を兼ね備え、少し柔めの麺ともよく絡む。しかしタテルには気になることが。
「待っている人がみんな後ろに立ってるから落ち着かない。なんか審査されてるのか、って」
「そう?二郎とかだとこれが普通なんだけど」
「二郎は行かんな。抵抗あるもん」
「文句言わないで食べる!」
余計なお喋りをしてしまったタテルはさらにもう一つ、海老ワンタンの臭みも気になってしまった。にし乃では感じなかったので、どうしても比べてしまう。

  

とは言いつつ満足して店を出る2人。
「タテルくんって、意外と気にしいなんだね」
「まあな」
「安心して。私も結構気にしいだから。お互い気合うね」
「そうなんだ。でも大丈夫?俺、常人なら気にしないことで気にするタイプなんだけど」
「例えば?」
「ドア閉めてくれなかったり、リモコンの置く場所とか向きとか乱されるとマジ無理…」
「大丈夫、私だってお風呂出た後はバスマットの上にタオル敷くし。人間誰しもそういうもの。ほら、次の店行くよ」

  

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