妄想連続百名店小説『彩とLOVE AFFAIR』6. MISS BRAND-NEW DAY(華正樓新館売店/元町・中華街)

グルメタレント・TATERU(25)が、モデルとしても活躍するアイドル・アヤ(24・綱の手引き坂46)と繰り広げる、夢のような禁断の横浜デート。全7話。

  

中華街大通りを山下公園方面へ戻る2人。足つぼを受けに入った路地の辺りまで戻ると、タテルはまたもや店の中へ入っていった。
「タテルくん、何か買うの?」
「うん。中華街来たら、月餅買っていかないと」
中華街でも一二を争う名店、華正樓。そのお菓子売り場である。
「いつもは萬珍樓の売店行って、肉まんとアーモンドクッキー買うんだけどね。でもそこは百名店じゃないから、今日は行かない」
「え〜、肉まん食べたいのに」
「安心しろ。今度ここに来たら、萬珍樓のお店で中華を食うんだ。その時までの辛抱」

  

「月餅もあまり食べないなぁ。何を選べばいいんだろう」
「とりあえず普通のやつ買おう。あれ、大きいなこれ」
中村屋や崎陽軒の月餅を想像していたタテルは、ずっしりとした重さの月餅にたじろいだ。
「普通のやつだと飽きそうだな。中に具が入ってるやつとか…チョコ月餅もある!」
「面白そう。私それ買う」

  

「うわ、ピンク色の饅頭!」
「すごいピンク…でもそれはいいや、着色料が気になるから」
「あ、パイナップルケーキ!これ美味いんだよね、たくさん買っていこう」

  

結局タテルは、胡麻あん月餅、胡麻たっぷり月餅、ピンク饅頭を1つずつとチョコ月餅2つ、そしてパイナップルケーキを24個購入した。
「パイナップルケーキは俺からメンバーへのプレゼントだ」
「いいの、そんなに?ありがとう!24÷4は7だから…」
「おいOBK、1個多いぞ。7じゃなくて6だ」
「え…」
「ってか何企んでるんだ。まさかまた差し入れ泥棒?シホと京子とミレイとキミで、4等分?だいいち俺の分は?」
「ごめんなさい、つい…」
「みんなで仲良く食べてな。今度抜き打ちでメンバーに味の感想訊くからね」
「わかりましたよ、信用してください…」
「それにしてもアヤ、だいぶ買ったね。まさか全部自分用?」
アヤは何も答えなかった。

  

「よし、ホテル行こう」
「あ、ホテル…昼間ホテルでなんちゃら言ってたの、本気なの?」
「本気。でも安心しろ。やましいことはしない」
「ホント?」
「だってニューグランドだよ?ラブホじゃないから。これが今日最後の夢。頼む、付き合ってくれ!」
「…わかった、行くよ」

  

ホテルニューグランドにチェックイン。この日のために、贅沢にも2部屋確保していた。
「各々の部屋に荷物置いて、バーに行こう」

  

しかしバーは満席で、かなりの待ちが発生していた。一旦部屋に戻る2人。
「アヤ、俺の部屋においで。月餅パーティしよ」
「しよう、しよう」

  

「じゃあまずは胡麻あんから…意外と重いなこれ」
手が止まるタテル。それもそのはず、月餅はラードを使ったハイカロリー菓子だから、見た目以上に腹が膨れる。

  

しかしアヤはバクバク食べる。
「今日はチートデイ、チートデイ〜」
「すげぇな…今までどんだけ我慢してきたんだ」
「こっちの胡麻月餅は美味しいよ。外もエグいけど中まで黒胡麻たっぷり、ダルメシアンみたい」
「そっちの方が美味しさ101倍だな」

  

「チョコ月餅、チョコの香りすごい!」
「ホントだ。でもやっぱ重い…よく食えるな」
「タテルくん、お腹いっぱいそうだね。ピンクのやつ、ちょっと食べていい?」
「着色料がどうとか言ってなかったっけ?まあ食べていいけど」
「…?何だろうこれ」
「わからんなこれ。ただただしつこい…キミにあげるわ」

  

「んー、パイナップルケーキ最高!」
「パイナップルの上品な甘さが凝縮されている。これに関しては油の具合もちょうど良い」
「やっぱお土産の24個、独り占めしていい?」
「冗談言うなって…」
「チートデイ、なめんなよ!」
カロリーとかどうでも良くなったアヤはゾーンに入ったようだった。
「や、やっぱ萬珍樓で肉まん買ってくる…」

  

「バーシーガーディアンⅡです。順番が来ました」

  

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