人気アイドルグループ TO-NAの メンバー ヒラホ。ある金曜日の レッスンおわり TO-NAとくべつアンバサダーの タテルに つれられ よやくこんなんフレンチ わたなべりょうりみせに 行くことになった。
「タテルさん、予約の時間って何時でしたっけ?」
「8時だね。まだ2時間あるな。7時前には門前仲町に着くね」
「もう少ししてから出発しません?」
「いや、ご馳走の前にやっておきたいことがある。ヒラホは酒飲む?」
「人並みには」
「食前酒を楽しもう。店の近くに有名なバーがあるんだ」
「バーですか⁈そんな、食事の前に…」
「グランメゾンともなるとバーカウンターがあって、そこで食前酒を嗜むのが乙だったりするものだ」
「確かにお洒落そうですね」
「今日行く店はビストロだからバーカウンターは無い。その代わりとしてバーを利用する。贅沢だろ」
「さすがタテルさん。ワクワクしてきました」
「贅沢に食べて飲んで、最高の夜を過ごそうぜ」
タテルと ヒラホは 7時ちょっと前に もんぜんなかちょうえきに とうちゃくした。しかし もくてきの バーのばしょが わからない。
「東に進むのは間違っていないはずだ。南の方の歩道を歩くのも合っている。だけどどの路地を入ればいいのかを忘れた」
「行ったことあるんですか?」
「1回ね。駅からそこそこ離れていた記憶がある」
「地図アプリ見ましょうよ。すぐわかりますよ」
「偶には自力で探し当てたい」
「えぇ…」
「君の大好きなドラクエだってそうでしょ?歩き回りながら仲間となるドラゴンを探して、強いドラゴンと戦ったり」
「タテルさん何も解ってないですよね、ドラクエのこと」
「バレたか」
「バレバレですよ。ポケモンと勘違いしてません?」
「別物だとはわかってるけど、似たようなものだとは思ってる」
「全然違います。ちゃんと地図見ましょう。行きすぎてますよ」

うめしゅせんもんてんの ある角をまがると バーオーパが見えてきた。かんばんの 文字が たっぴつで タテルは にんしきしそこねたようだが ここは たしかに オーパである。

2かいに上がり おもそうな とびらを 開ける。まだ7時なので せんきゃくは まばらであった。カウンターに すわり ぼうけんのしょを もらった。
「メニューブック貰ったはいいけど、俺一つ候補あるんだよね。多分載ってないと思うけど、これどうかな?」
インスタ を見せる タテル。
「ヴァイオレット・フィズ。綺麗な紫色ですね!」
「丁度めざンモのアフレコやってたからね。主人公のスミレちゃんから連想して、スミレリキュールのカクテルです」
「スミレのお酒ですか。どんな味なんだろう」
「甘いあま〜い味だよ。でも芯のある、まさしくスミレちゃんみたいなカクテルだ」
「レジェちゃんが20歳になったら、これで乾杯したいですね」

ぼうけんのしょにない カクテルも 作れることをかくにんし バイオレットフィズを ちゅうもんした。あまりたのむ人の いないカクテルのようで バーテンダーも あらためて そのうつくしさに かんどうする。
「うわぁ、お洒落な甘さで美味しい〜」
「だろ。食前に飲むのにピッタリのお酒だ。バーテンダーさん、俺インスタで見たんですけど、秋田のル・ヴェールさんでよく出てるらしいですよこれ」
「よく出るんですね。どうしてでしょう?」
「常連さんがどハマりしてるらしいです。俺もパルフェタムール好きなので頼んでみました」

くうふくを たえかねていた 2人は つまみを しょもうする。おすすめは ミックスナッツとの ことなので のっかってみる。これが かなりの ぜっぴんで たとえば ピスタチオは あまみえんみの コクが 深い。これで プリンや ジェラートを 作れば どんなドラゴンも たおせるかもしれない。
「ジャイアントコーンも、無味で固いだけの物が多いイメージが強いけど、しっかり味わいがある」
「青豆も堪らないですね。ヘルシーだからいくらでも食べちゃいたいくらいです」
「もし俺がTO-NAハウスでバー開いたら、来る?」
「タテルさんカクテル作れるんですか?」
「作れない。ウイスキーとかラム酒とかテキーラとか、ストレートで飲ませる専門」
「カコニさんくらいしか飲めませんよ」
「バーテンダー修行するか〜。なんて気やすく言うもんじゃないけどな」
タテルは 早くも 1ぱい目を 飲みほしそうだ!
「時間があるからもう1杯くらい飲んでいい?ヒラホはゆっくり飲んでていいから」
「勿論ですとも」
「本当ならマティーニも食前酒にうってつけらしいね。でもこれは強すぎる」
ぼうけんのしょを めくると ホワイトネグローニなる カクテルを 見つけた。ジンと ベルモットが つかわれている てんは マティーニと 共通しているが ネグローニの ベルモットは あまい。ネグローニは それにくわえ カンパリを 使って 赤く し上げるが これは オーパの オリジナルレシピらしく カンパリの かわりに かんきつけいかじつ ベルガモットの リキュールを しようする。フランス人に あこがれる タテルは このカクテルで ならすことにした。

「なるほど、花の蜜のような軽やかな甘さ。でも構成要素は全部酒だから、くるね」
「タテルさん大丈夫ですか?酔っちゃうとせっかくの予約困難フレンチ、愉しめませんよ」
「これで一旦終わりにしよう。おっ、カクテルのコースなんてあるんだね」
この店には どうやら 月がわりの コースがあり この月は ジンベースの カクテル 3はいを 5000円くらいで たのしめるとのことだった。
「戻ってきたら飲もうかな」
「もももも、戻るんですか⁈」
「ああ。今日のテーマは『フランスりゅうのぜいたく』だ。食前酒を飲んで好きな料理を頼み、食後酒で一服する。この嗜みに俺は憧れていたんだ」
「ついていけますかね…」
「『すき』に素直になれば、愉しい夜にできるよ。基本は俺に任せてほしいけど、自分はこれ食べたい、というものがあったら言ってな」
「はい!」
白スーツの てんしゅに またもどってくるかもしれないと つげ 店をあとにする。

しゅもくてきてんの わたなべりょうりみせ は橋のあたりまで西にもどり 1本川ぞいに入って また西にすすむと あらわれる。
「一緒に行くメンバーには皆訊いてるけど、ヒラホはフレンチ食べたことあるよね?」
「よね⁈いや、1回も無いです…」
「マジか。お金持ちのイメージ強いから」
「同郷のパルさんと勘違いしてません?パルさんは米子屈指の御屋敷の住人ですけど、私はごくごく普通の一般家庭の出です」
「そっか」
「それに山陰にはフレンチなんて少なくて。だからすごく楽しみです、どんな料理なんだろうって」
「それは良かった。愉しむ準備はバッチシだね」

カウンターせきに すわり まずは グラスシャンパーニュ をちゅうもんする。夏に のんだ時よりも かじつみが きれいに ぎょうしゅく されているように かんじた。

「シャンパーニュを片手にメニュー選ぶのがシャレオツなんだよな〜」
このじゅもんは いぜんも となえているぞ タテル。
「私ドーバーチュルボが気になります。ヒラホがヒラメを食べる!」
ざんねん。これを 2人で かんしょくするのは むずかしい。
「お肉をちゃんと食べたいので、今回は諦めますね」
「心苦しいけどそうしよう。じゃあ肉は最上級に贅沢な食べ方にしてみる?こんな呪文があるんだけど…」
「高級食材どうしのコラボ、最高じゃないですか!」
「やってみよう。でそこに至るまでの料理を2,3品見繕って。ここは各々選んで、自分らしいコースを組み立てよう」
タテルは 4しな ちゅうもんし おかみの ちょうどいいりょうですねを えた。
「それにしても何故この店は予約困難なんですかね?」
「この店はクエストのし甲斐があるんだよ。フレンチだとコース料理が中心で、食べたいものを指定できないことが多い。食べたいものを食べたければビストロに行けば良いのだが、コースを出す店と同レヴェルの技術で提供してくれるところは意外と少ない。この店は貴重なハイレヴェルビストロなんだ」
「なるほど。高品質の料理と、その料理を自分で選べる楽しみが両立している訳ですね」

タテルの 1しなめは ほっかいどうさんウニ ズワイガニ こうかくるいのジュレ ののった カブのババロワ。ズワイガニの みのつまりに せすじが ひきしまる。ウニは いそのかおりを はなつ。ババロワは のうこうで 時に カブの フレッシュさも おぼえる。
「蟹美味しい〜」
「やっぱ蟹は人に剥いてもらってナンボだな。ヒラホは普段から蟹食ってそうだけど」
「鳥取出身だからですか?まあ食べますけど」
「松葉蟹は食べない?」
「あれはもう高級すぎます」
「タグ付きの松葉蟹、食べてみたいんだよね。ゴチで出てきて、脚3本か4本で2万するやつ」
「高っ!」
「ヒラホと旅するならやっぱ山陰だな。クエストしたいものが沢山ある。まずは松葉蟹、それから…」
タテルは のみものの ついかちゅうもんを きかれた。よやくこんなんてんにきて きもちが たかぶって いたので たっぷり ペアリング してもらう ことにした。
「次来るのは白子ですか?鮑ですか?」
「えーっと、白子ですね」
「そしたら濃い味の魚介なので、シャルドネが良いですかね」
「良いと思います。メニューにあるもの以外に、ブルゴーニュのシャルドネもあります」
てんいんは ドメーヌゴワゾ の コート ドーセール ル クール ヴィ ブラン 2020 をとなえた!

バニラのような かおりのある きたいどおりの あじわいだ。じゃっかん しらこの クセを ひろってしまいはするが よい マッチングである。


タラのしらこの ムニエル。トマトとケッパー のソースで さんみを 作り キノコの こがしバターソースで のうこうさを あとおしする。このしらこは いがいと サラッとした いちめんが あって ソースを すべてあわせる ことにより かんせいする ひとさらである。
「中国山地の方に分け入ってみたいんだよね」
「中国山地ですか⁈あそこ本当に何もないですよ」
「何もないから面白いのよ。伯備線とか木次線とか芸備線とか、乗ってみたいんだよね」
「確かにタテルさん、鉄道お好きですもんね」
「廃線になる前に乗らないと。伯備線は未だ大丈夫そうだけど」
「タテルさんといると、未だ知らない地元の魅力を知れそうです」
「皆の地元でクエストやりたいね。地元の良さを再認識すれば地元での仕事を勝ち取れる。俺が積極的にサポートしてやる」
「私もとっとり大使として、山陰地方の魅力を勉強します」


つぎに はなたれた りょうりは エゾアワビ の フラン。アワビのきも や 生のり がかかっていて だしには ベーコンふうみが きいている。まず 生のりと フランだけで食べてみると ちゃわんむしの ように いただけ のりの かおりが たまらない。つづいて アワビを 食べてみる。しっかり 火が 入っているからか だんりょくが あり うまみを 長い時間 あじわえる。きもソース および かいそうバター で 一気に ようふうの じゅうこうさへ シフトチェンジする。
「さっきまでは全然入りそうな感じだったんですけど、ここにきて急にお腹に溜まってきましたね」
「それだけ質実剛健とした料理なんだと思う。鮑をここまで火入れする店って意外と無いんだよね」
「そうなんですか?」
「去年3回フレンチで鮑食べたけど、どれも若々しい仕上がりだった。ここまでばっちり火を通して食べるのは新鮮」
アワビにたいし てんいんは ドメーヌドゥニゾ の サンセール ブラン をとなえた!

先ほどとは いってんして かろやかで ミネラルを ふくむ 白ワイン。日本ワインでいえば グレイスワインの こうしゅうけいとう のように 日本の りんとした ぎょかいに 合う。
「やっぱりこの店は重みのある料理を出しているな。シェフはあのクラシックなグランメゾン『レカン』の出身だし」
「レカン、ですか」
「銀座のど真ん中にあるんだ。中央通りを颯爽と歩いているとその店の入口があってさ、メニュー表眺めて『高い…でもいつか絶対訪れてやろう』と意気込んだ中学生の俺がいる」
「タテルさんって、銀座の話すると活き活きしてますよね」
「そう見える?まあ六本木や渋谷よりは銀座の方が好きだな」
「カッコいいですね。さすが江戸っ子さん」
てんいんは シャトー ムーラン デュ キャノー をとなえた!

カベルネ と メルロー を 半分ずつ つかった もので ボルドーさがん メドックらしい しぶみのきいた ものである。


タテルの あこがれていた メインの にくりょうりとは ロッシーニ である。ぼうけんのしょにある じょうしゅうぎゅうフィレロースト と フォアグラポワレ を がったいさせ トリュフも たっぷりのせた ぜいたく。フィレにくは ほどよく あぶらが 入っていて これぞ こうきゅうにくの こうふく。トリュフソースは おうどうの 力強い しあがり。
ヒラホは 目を丸くして タテルを 見つめた!
「おいどうした、可愛いじゃねぇか」
「恥ずかしい…もうあまりにも美味しくて」
「だね。俺も恥ずかしさ捨てて大音量で唸ってる」
「唸っちゃいますよ、仕方ないです」

フォアグラは まるで キャラメリゼ かのように ひょうめんを カリッと やいている。外と中の しょっかんの コントラスト そして 重たすぎない うまみの とりこに なる。
「漸く型を学べた気がする。今までのフレンチ食べ歩きは型破りばかりだったから」
「そうなんですか?」
「日本のフレンチは海鮮を使った料理が多いし、和食に影響されてかソースに力を入れないケースが多い。もちろん日式に迎合することが悪という訳ではない。寧ろその土地の美味しい物を活用することは良いことだ。でも本当は、本場らしいマッシヴな料理が食べたかったんだよね」
「なるほど。確かにみんなが美味しいと思えそうな料理ですよね。でも少しお腹いっぱいになってきました…」
「ここで腹一杯になっているようなら、本場のポールボキューズじゃ前菜で力尽きるぞ。と言いつつ俺も重たくなってきた。こういう時は唱えてもらおう」
てんいんは シャトーゲリー カリニャン をとなえた!

なんぽうの ワインで よくつかわれる ぶどうひんしゅで くろい ベリーけいの どくとくな かじつみが ある。
「はぁ〜美味しかった!」
「ヒラホはしっかりしてる。こういうクラシックなフレンチって、若い人にウケない傾向にあって」
「いやあ、ものすごく美味しいですよ。何が不満なんですかね?」
「口を開けば映えしか言わないパパ活女子には良さがわからないかも。美味しさなど二の次で、演出だけ凝っていて中身スカスカななんちゃってイノヴェーティヴにキャッキャっするやつ」
「言いますねぇタテルさん」
「TO-NAの皆にはちゃんとしたモノに触れてほしいからな。だから俺はこういう食事の場を大事にしている。よぉし、俺はデザート3連チャン愉しむぞ〜!」

まずは ヒラホと いっしょに 食べる いちごの ミルフィーユ。フレッシュな いちごと きょうじんさも あわせもつ パリパリの きじ。外には すこしにこんだ いちごも あり 2しゅるいの いちごの たのしみ方が できる。トンカまめの アイスは かとうが されていない そのままの あじであり やはり チョコなどと 合わせるべきものと さとった。


白ごまの ブランマンジェ は ごまの まろやかさを よくひょうげんできている。下の えきたいには ハーバルな なにかが 入っていて かおりの アクセントとなる。あんこは レンズまめで できていて ごまの あじわいを じゃますることなく 口あたりを まったりさせる。はちみつの アイスも そえられていた。


さいごは ババオラムで しめる。ふっくら やかれた きじには せいぜんと きほうが 入っていて ラムしゅと 合わせても 口にのこる じゅぶつが ない。ラムしゅは たりなければ いくらでも かけていいとの ことである。
「タテルさん、全部かけちゃいそう」
「そんなことするか!色々問題になる」
「冗談ですよ」
「2,3回ピッピッてかけて濡らしてあげるくらいが丁度良い。適量ならラムの香りで生地も歓ぶからね」
かなり ぜいを つくした つもりでいたが タテルが のみくいしたぶんの かいけいは 21000円に おさまった。
「自分でメニュー選ぶのって楽しいね」
「楽しいですね。もう大満足です。でもまた鬼電しないと行けないのか…」
「もし良ければ、次の予約取っていきます?空いてるところあったら入れますので」
「え、いいんですか⁈」
タテルと ヒラホは 3かげつごのよやく を手に入れた!
「さあバーに戻ろうか…」
「タテルさん、だいぶ酔ってますよ。本当に戻るんですか?」
「このまま姿現さなかったら悪いじゃん。ウイスキー1杯、食後酒として戴こう」

タテルは よってはいたが あしどりは ふだんとかわらぬ はやあし であった。まよいなく オーパ へもどる。
「でも金曜のいい時間だからな、混んでて入れないかもしれない」
「それはあり得ますね。タテルさん、完全にお酒のニオイが…」
「する?まあじゃあ本当に1杯で終わりね」
「止めなかったらもっと飲む気でした?」
「カクテルコースいってたかも」
「良くないですよ。1回肝臓壊してるんですから」
タテルの しんぱいは きゆうに おわり ギリギリ空いていた カウンター 2せきに すわる。
「戻ってきてくださってありがとうございます」
「いやあ、すっかり酔いが回ってしまいました。ウイスキー、ストレートで1つ戴きたいです」
「どういった味わいのものにいたしましょう?」
「そうですね…甘めのものでお願いします」

2つの ウイスキーが ていあんされる。どちらも シェリーカスクを へている ものであるが スプリングバンクは カスクストレンクス がかかっていて しょうしょう どすうが 高い。
タテルは グレンギリー10年 をとなえた!

バニラの ような あまやかな かおり。口にふくむと そのあじわいが つつみこむように ひろがる。
ヒラホは タテルの すすめで ノンアルコールの グレナデンサワー をちゅうもんした。ノンアルコールカクテルの しなぞろえも じゅうじつしている バーは どうはんしゃの はばが 広がるから ありがたい。
「どうでした、渡辺料理店は?」
「最高でした。どっしりしたフランス料理を楽しめる店、ありそうで無かったので」
「いいですね。私行ったことないものでして」
「予約取れないですもんね。俺も横浜でアフレコしてた休憩中にたまたまインスタ開いたら、ストーリーズが5分前に更新されてて。ケーキ食べる手止めて100回以上電話して、漸く勝ち取りましたからね」
「それはすごいですね。お弟子さんの新店舗が完成したら、少しは分散するんですかね」
「期待はしてますけどね。俺も新店舗行ってみようかな。古参の気分を味わいたいので」
「いいですね古参」
「両店舗、定点観測してみたいと思います」
「今度は他のメンバーも連れて来たいですね」
「いつか4人で来て、ドーバーチュルボを食らう!」
さっと ウイスキーを のみほして たいてんする。白スーツの てんちょうに ふたたび 外まで おみおくりしてもらう。
「この辺食事来たらまた寄らせてもらいます。今度は是山居帰りに、ですかね」
「いいですね是山居さん。ぜひまた来てください」
かえりぎわ タテルは はんぞうもんせんの しゃないで ばくすいしていた。
「俺はパリジャンだ。おぉしゃんぜりぜ…ほぉしゃんでりで…」
「タテルさん、ここ電車ですよ。寝言やめてください」
へんじがない。ただの よっぱらい のようだ。