連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』62杯目(さくら井/三鷹)

グルメすぎる芸人・タテルと人気アイドルグループ「綱の手引き坂46(旧えのき坂46)」のエース・京子。2人共1997年生まれの同い年で、生まれも育ちも東京。ひょんなことから出会ってしまった2人の、ラーメンと共に育まれる恋のようなお話。今宵、人気番組『浜千鳥の神連チャン』に出演。

  

神連チャン、そして浜千鳥OUTキョコってるINまであと4曲

  

〜LEVEL7〜
①桜木町/ゆず
②ロビンソン/スピッツ
③女々しくて/ゴールデンボンバー
④花束/back number
⑤このまま君だけを奪い去りたい/DEEN

  

〜〜〜〜〜

  

2人に声をかけたのは綱の手引き坂メンバーのナノであった。
「ナノちゃんじゃん!そっか、地元この辺だもんね」
「そうですそうです。お2人ともラーメン食べに来たんですか?」
「そうだよ。今すっごく美味しいラーメン食べてきたんだ」
「へぇ、いいですね」
「俺らこの後もう1軒行くけど、一緒に来ない?」
「いいんですか⁈」
「すごい目をキラキラさせてる。行くしかないっしょ」

  

三鷹駅から歩くこと約15分。ナノですら馴染みの無い住宅街にある「さくら井」には20人ほどの行列が出来ていた。順番が来るまでの40分近くを立ち話して過ごす3人。タテルはレベル7の曲リストを見せる。
「ナノちゃん、この5曲の中だと何聴きたい?」
「盛り上がる曲となると『女々しくて』ですかね」
「いいよねこれ」
「でもタテルくん苦戦してた。アップダウン激しいもんね」
「本当はこのまま京子だけを奪い去りたいんだけど」
「何その言い方」
「音程が結構揺らぐから怖いのよね」
「『花束』はどうですか?京子さん大好きな曲って仰ってましたよね」
「歌えたらカッコいいんだけどね、これも揺らぐから何回やってもズレる。レベル7じゃない、8はあるよ」
「そうなんですね」
「『桜木町』も高いし複雑すぎるから7は馬鹿げてる」
「じゃあこれしかないですね。お2人の関係性にピッタリじゃないですか、『2人だけの国』とか」

  

漸く店内に入れ、ラーメンが登場した。醤油は異なる産地異なる製法のものを6種類ブレンドしていると云うこだわりぶりだが、旨味が広がる感覚がない。アブラも必要以上に多く感じ、メンマも普通のようであった。唯一真空低温調理されたチャーシューだけ、独特の柔らかさ旨さを出していた。

  

「ナノちゃんも神連チャン出ればいいのに」京子が太鼓判を押す。
「私がですか?そんな、自信ないです」
「ダーハマ歌謡祭での歌唱、低音が丁寧に出ててカッコいいと思った」タテルもダメ押しをする。
「高音もボイトレすれば安定するようになるから」
「小野正利さんのボイトレ学校行ってみたら?ハイトーン自由自在に操れるようになると思うよ」
「お2人に褒めていただけるなんて光栄です。自信出てきました、オファーあったら精一杯頑張ります!」

  

〜〜〜〜〜

  

ナレーション「何を選ぶ?」
タテル「スピッツサンカラ!ロビンソン!」
濱内「タテルくん、それだけは止めよう。高音出なくなるもん」
ドアノブ「何のメリットもない」

  

山家「ほんでめっちゃ高いやろこの曲」
大吾「さっきめちゃくちゃやったしここで終わりやな」
テロップ「スピッツ特有のキーの高さ」

  

〜学生服姿で登場するタテル〜
タテル「僕の中学の制服です」
山家「ダッサ!」
ドアノブ「戦前の学校ですか⁈古風すぎる」

  

タテル「レベル7は男性陣にとって大きな鬼門ですね。ここで落ちる方がものすごく多い」
ナレーション「そう、このレベル7では数々の有力チャレンジャーが涙を呑んでいる」

  

タテル「不安なのは『だれもさわれない』の『れも』ですね。一瞬下がる音をバチっと当てられる確信がない」
京子「でも練習の時は何とかなってたじゃん。大丈夫だよ」
〜タテルの肩を揉む京子〜
タテル「ありがとう…でもちょっと力弱い」
〜プク顔を見せる京子〜
ドアノブ「現役アイドルが男の肩揉むな!不適切にも程がある!」
タテル「京子は上手いから何やってもいいんですよ。俺がミスるのが一番ダメ。ここからはおふざけなしでいきます」
大吾「言ってるそばからふざけてる」

  

タテル「この曲、中学高校の卒業式で担任団の先生方がバンド演奏してくれたんです。思い出しますね、俺の黄金期…」

  

ナレーション「小学生時代、周りからイジメを受けていたというタテル。その結果心を閉ざし暗黒の時代を過ごしていた。だが受験に成功し地元から離れた中高一貫校に通い始めると、一気にキャラが開花したと云う」
濱内「そうなんだ」
タテル「今思えばものすごく変な子だったんですよ。その当時有吉さんが毒舌渾名つけで再ブレイクしてたから真似して同級生に変な渾名つけたり、同級生を無理矢理帰れま10ごっこに巻き込んだり」
山家「人の褌で相撲とっとるだけやん」
タテル「悪気無かったんですけど先生にタメ口利いたり、可愛い男の子に急に抱きついてみたり」
ドアノブ「シンプルに引くわ」
タテル「それでも周りの人達は俺を受け入れ愛してくれた。ものすごく嬉しかった。俺は俺であっていいんだって初めて知った」

  

大吾「食べログによくいる自分語りする奴だ」
濱内「良い話じゃないですか。聴きましょうよ」
タテル「その中でIMC48のことが好きになって。アイドル推すようになって更に人生が明るくなりました」
〜屍人面する大吾〜
タテル「京子もその頃夢を追い始めたよね」
京子「そうそう。最初は歌手で行こうとしたけど…」

  

ナレーション「中森明菜に憧れ歌手を目指していた京子。しかしオーディションに落ち続ける6年間。そんな中、少し戸惑いはあったがえのき坂46のオーディションに応募。結果見事合格し、綱の手引き坂46となった今、八面六臂の活躍を見せている」

  

〜あくびする大吾〜
京子「アイドルという道を選んだのは、IMC48の存在が大きいですね。IMCさんがいなければ私はここにはいません」
タテル「俺もIMCを好きにならなければこうして綱の手引き坂、京子と出逢えてはいないと思います。そしてIMCを好きにならせてくれたのは、中学時代に受けた先生・同級生の愛情のおかげです」
濱内「今までに無いくらいの熱語りだ…」
ドアノブ「これ終わるぞ!」
山家「やめてくれ!せめてあと2ポイントは欲しい!」

ナレーション「自分らしさを受け入れてくれた、中学の先生と同級生へ!」
〜文化祭の劇で体育館中を縦横無尽に駆けるタテルの動画〜
ドアノブ「フレンドパークで大騒ぎしながらデモンストレーションするフランキー為谷やん」
ナレーション「感謝の気持ちを込めて、魂のレベル7!」
大吾「外せ外せ!」

  

山家「タテル、意外と純粋な子なんだね」
大吾「今からでも遅くないから普通の仕事探しなさい。芸能界に染まらない方がいい」
〽︎同じセリフ…
濱内「いいぞいいぞ!このまま行ってくれ!」

  

〽︎誰も触われない…
ドアノブ「手の動きがしつこい!」
濱内「音程取ってるんですよ」
大吾「マルシアさんみたいやん」

  

〽︎ルララ宇宙の風に乗る
ドアノブ「成功するんかい!あれだけ熱語っておいて」
タテル「よっしゃあ!」
京子「はあ良かった!熱語りしてたから外すかと思った…」
タテル「ありがとうみんな!」

  

ドアノブ「誰も応援してない」
濱内「してますって」

  

NEXT

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です