連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』6杯目(RAGE/西荻窪)

グルメすぎる芸人・TATERUと人気アイドルグループ「綱の手引き坂46」のエース・京子。2人共25歳の同い年で、生まれも育ちも東京。ひょんなことから出会ってしまった2人の、ラーメンと共に育まれる恋のような話。

  

年寄りの塩水を浴びた2人は西荻窪の街を散策する。次の店への道中、タテルはカレーの匂いにそそられる。
「ねぇねぇ、カレー食わない?」
「ダメに決まってるでしょ。私たちはラヲタよ」
「そうだよな…ってか俺いつの間にラヲタに?」

  

店に着いた。しかし入口の様子は、ラーメン屋というより秘密基地だ。
「ここでグラビアの撮影でもするのか?」
「いやいや、れっきとしたラーメンの店。あっ、ラッキー。タテルくんの大好きな無行列」
「何だよ無行列って…」

  

テーブル席についた2人はメニューを眺める。
「私はグントリそばかな」
「『グントリ』?…ハハッ!」
「え?何がおかしいの?」
「それは『しゃも』って読むの!」
「え、え?そうなの?どこがどうなったら『しゃも』って読めるのよ」
「文句が多いな!…オモロいな京子。この大ボケ野郎の俺様にツッコませるとは」タテルは有頂天になった。結局2人とも特製の軍鶏そばにした。

  

「お、香りがいい!さすがミシュランのビブグルマン」
「ビブグルマン?どこに入ってる?」
「食材じゃないって。良い店だっていう証」
スープはご立派で、麺にも味が絡んでいた。一方でチャーシューには少し臭みが感じられた。

  

「美味しかった。ありがとう、良い店紹介してくれて」
「ようやく満足してもらえた!私も嬉しいです」
「そうだ、2人の秘密基地作らない?」
「秘密基地?何するつもりなの?」

  

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