連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』118杯目(ふじさき/亀戸)

人気女性アイドルグループ「綱の手引き坂46」の元メンバー・京子と、綱の手引き坂→TO-NA特別アンバサダーを務めるグルメ芸人・タテル。2人がラーメンについて語り合うYouTubeチャンネル『僕たちはキョコってる』が人気を博している。今宵、日曜ゴールデンの番組『浜千鳥の神連チャン』に2度目の出演。サビを音程を外さず10曲連続で歌い切ったら200万円が貰える人気企画に挑む。
(各曲のレベルはオマージュ元に準拠。オマージュ元未登場の曲は某まとめWikiの予想曲リストを参照して掲載)

  

ナレーション「神連チャン達成、そして結婚&浜千鳥ご祝儀まで遂にあと1曲。運命のレベル10、何を選ぶ?」

  

〜LEVEL10〜
①僕のこと/Mrs. GREEN APPLE
②HOWEVER/GLAY
③くるみ/Mr.Children
④アイビー/Novelbright
⑤ともに/WANIMA

タテル「やっぱこれかな。ミセスグリーンアップルサンデ!ボクノコト!」

  

濱内「ミセス歌う前にやる発声じゃない」
山家「ありえんくらい高いやん。もっと簡単なのあるって」
大吾「失敗したらどうなるんやろね」
ドアノブ「俺らでもフォローしきれん」
ナレーション「ミセス特有の超高音が全編に渡って続き、歌い切るのは至難の業。そしてこの曲といえば」
山田GATSBYの挑戦プレイバック
ナレーション「あの山田GATSBYが執念の神連チャンを達成した曲。ということで!」

  

タテル「どうも、ミスターSASIKOこと山田GATSBYです」
大吾「全然ちゃうやん。贅肉だらけ」
タテル「去年のSASIKOは伝説の回やったね。まさかメイちゃんが第三砦行って、絶凶・垂直極限をクリアするとはね」
京子「タテルくんの指導がめっちゃ良かったから」
タテル「タテルくんな。アイツようSASIKOのこと分析してるよな、感心するわ」
ドアノブ「自画自賛するな気持ち悪い」

  

タテル「山田さんとはSASIKOのオンエア翌日にお会いしまして…」
ドアノブ「モノマネ止めるの早いな」
タテル「この曲についてもアドヴァイス貰って。山田さんは本当に練習の鬼ですね。だから俺も見習っていっぱい練習しました、仕事中にふと口遊んだり」
ドアノブ「仕事中はアカンやろ。そんなところまで見習うな」
タテル「音程の分析も欠かしませんでした。山田さんが挑戦した時はラスサビが歌唱範囲でしたけど、今回歌うのは1番サビですよね。明らかにこっちの方が難しい。俺の分析が正しければなんですけど、『治りきらない傷も全て僕のこと』の箇所で男性曲史上最高音が出てくるんですよね」
山家「そうなん?」

  

ナレーション「そう、タテルの分析通り、1番サビに歌唱範囲が変更となったことにより、今まで番組で歌われてきた男性曲史上最も高い音が登場する」
タテル「さっき京子が歌ったFirst Loveの最高音よりも高いんですよ。しかもそれが3回出てくるし、高音のさなか音程変化を緻密に捉えなきゃならない。鬼門ですこれは」
京子「大森さんすごすぎるよね。でもタテルくんも負けてないと思う。頑張って」
ドアノブ「全て負けとるやろ。声も顔も不器用なとこも」
山家「ドライフラワー?」
タテル「このゲームって、何だかんだ高い音は外さず出せるもんじゃないですか。低いところで足掬われる人の方が多いというか。でもこの曲に限っては、出ないことが大いにあり得る、河合さんみたいに」

  

〜河合郁人『夏の王様』挑戦プレイバック〜
タテル「カッコ悪い、そうなったら」
大吾「お前風情が河合をバカにするな!」
タテル「高音を力まず出せるように筋トレもしました。もうとにかく、SASIKOに挑む人たち並に歌い込んでますから。山田さんの格好をして挑む訳ですし、鬼に金棒といったところでしょうか」

  

———

  

土曜日の11時半、亀戸の人気ラーメン店「ふじさき」に辿り着いたタテルと京子。
「13組待ちか。複数人で来ている人もいるし、1時間はかかるかな」
「整理券だけもらって時間潰そうか。近くの船橋屋でくず餅食べない?」
「お腹いっぱいになっちゃう。ラーメン食べた後にしよう」

  

空き時間はカラオケボックスに籠って神連チャンの練習に充てた。
「タテルくんの最後の曲、絶対難しいよね」
「オペラ唱法で乗り切るしかないね。最悪ホリケンタさんみたいにウーウーで」
「それは格好悪い」
「『治りきらない傷も』の『も』が『ぽ』になるのは?」
「好ましくはない」
「山田GATSBYさんの扮装して歌うんだけど、山田さんといえば『ぽ』じゃん」
「アハハ、あれは面白かったよね」

  

〽︎治りきらない傷ぽーー!
「アリかも!」
「でしょ?河村隆一さんだってGlassを『いつまでぽーーー!』って歌ってる訳だし」
「じゃあ『傷ぽー』と『くるっくぅ』はOKね。それ以外は正しい歌詞で歌おう」
「よっしゃ!これで完璧だ!」

  

1時間後店に戻ると、待ち組数は未だ3組程あった。店員に促され食券を購入する。
「うぅ、特上は2300円…京子はどうする?」
「いいんじゃない?この店結構良い感じがする」
「良い感じって何だよ。まあ具材への拘りもありそうだし、ここは特上にしてみるか」
「醤油でいい?塩もあるけど」
「左上の原則に従って、醤油でいいよ」
(現在は特上は無く、代わりにわんたんチャーシューがラインナップ。地鶏と海苔が載らない?)

  

整理券を受け取ってから着丼まで1時間半かかった。スープは油が効いた明るい味。

  

そして麺は上質なそうめんのようにするすると入っていく。
チャーシューは上品な薄さに切られ、上品に脂が溶けていき、上品なスープ・麺とのマリアージュを見せる。地鶏はかっちり焼かれていて、焼き鳥の一口以上に噛み締める時間が長い。ワンタンは生姜の効かせ方がやはり上品で、海苔は高級寿司屋のそれのように上品な香りである。
「奇跡のラーメンだこれ。高いけどそれなりの美味しさを感じたよ」
「ね。すごく美味しかった」
「2000円取るならこれくらいやらないと、だね。高級ラーメンの象徴に相応しい存在」
「神連チャンしたら、また食べに来ようか」

  

この後2人は船橋屋でくず餅を食べ、亀戸天神を参拝した。願い事はもちろん、神連チャン達成と2人で築く永劫の幸せであった。

  

———

  

タテル「この曲聴くと多くの人が救われるんですよね。僕もそうです」

  

ナレーション「人よりちょっと九九を覚えるのが早かったくらいで、決してずば抜けた頭脳の持ち主ではなかったタテル。努力の末東大に入学するもその時が人生の頂点で、その後は学を極めることもせず、個性を活かしきることもできず、大学院に行くこともできずなあなあのまま卒業をしたと云う」
タテル「何となく学生生活を過ごして、奇跡を死なせてしまった。卒業してから何も起こらない日々を過ごし、将来への不安が溜まる一方でした。そこに綱の手引き坂のスタッフ募集が舞い込んできて、募集したら採用されて。大好きな人達と直接関われる仕事だから、そりゃもう嬉しかったですよね」

  

ナレーション「それでも現実は楽しいことばかりではなかった。グループの人気は停滞し、状況を打破するために打った施策が騒動に発展。人気回復のため、身を投げ打って奔走してきた」
タテル「去年は2回倒れました。2回目は死んでもおかしくない怪我でした。でも命を捧げてもいいくらい、TO-NAには魅力的なメンバーが揃っているんです。そんなみんなと過ごしていく内に、俺も何者かになれた。感謝の気持ちで一杯ですね」

  

〜涙するタテルと京子〜
山家「おいまだ泣くな!終わってないって!」
タテル「大好きな京子と出逢えてこうして一緒にいること、夢見てはいたけどまさか叶うとは思わなかった。俺一生結婚できないと思ってたけど、これ歌い切ったらできるんだもんね。人生最大の奇跡だよ…」
大吾「これで失敗したらどうすんねん。目も当てれんわ」
タテル「キョコってるのこと・TO-NAのことを応援して下さる皆さん、今この放送を観て興味を持って下さった方々、そして何より家族や親戚・友達・TO-NAの皆、私達を支えてくれてありがとうございます。最後絶対歌い切って、僕は京子と共に、幸せになります!」

  

ナレーション「輝き出した軌跡を高らかに歌い上げろ!栄光のヴァージンロードへ、ミセスの人生讃歌で挑むレベル10、果たして?」

  

大吾「これ失敗したらマジでおかまたち2人で後始末せえよ。俺らは何にも喋らん」
山家「歌い込んだって言ってますから。大丈夫ですよ」
〽︎ああ なんて素敵な日だ
濱内「声出てる!いいぞ!」

  

〽︎幸せと思える…
おかまたち「あぁ!」
〜紅に染まるタテル〜
タテル「待って待って、違う!」

  

〜REPLAY〜
ナレーション「『し』が半音低い!」

  

タテル「嘘だろ、絶対失敗しないのに!」
山家「失敗しとんねん」
タテル「おかしいって。機械がF***なだけ!」
京子「そうやって人のせいにするの、マジで止めて」
タテル「…」
京子「結婚についてはちょっと考えさせてください」
タテル「最悪だ…」

  

天の声「おかまたち軍、9ポイント〜。あれ、みんなお通夜状態になっとる」
山家「なりますやん。あんだけ煽っておいて呆気なく終わりやで。フリオチのフリが効きすぎなんですよ」
ドアノブ「濱内も思うところあれば言いなさい。好かれているけど本当は嫌でしょタテルのこと?」
濱内「…めっちゃ嫌!我慢してたけど、殴りたかった!」
山家「何やねん今更」
濱内「あの2人に褒められても嬉しくない。もっと面白い人に褒めてもらいたい」
大吾「急にめっちゃ言うやん」
濱内「もうあの2人は出禁にしましょう。番組が滅茶苦茶になります」
ドアノブ「京子ちゃんがソロで出るのはええとして、タテルは出禁ですね。モノマネの対象に対する敬意がまるで無い」
大吾「2人は本当に別れるんか?」
天の声「スタッフによると、この放送後にYouTubeでライヴ配信するらしい」
ドアノブ「焦らすな!さっさと別れろや」
大吾「少なくともタテルは出禁決定や。ええね」

  

浜千鳥軍 梅グループ 社長と愛人

  

〜1曲目『もしもピアノが弾けたなら』を社長がクリア〜
〜2曲目『カナダからの手紙(デュエット)』で社長が失敗〜
ドアノブ「愛人の声ほとんど聴けず」
大吾「社長〜、ひく〜い!」

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