連続百名店小説『東京ラーメンストーリー』112杯目(進化 2nd/鶴川)

人気女性アイドルグループ「綱の手引き坂46」の元メンバー・京子と、綱の手引き坂→TO-NA特別アンバサダーを務めるグルメ芸人・タテル。2人がラーメンについて語り合うYouTubeチャンネル『僕たちはキョコってる』が人気を博している。今宵、日曜ゴールデンの番組『浜千鳥の神連チャン』に2度目の出演。サビを音程を外さず10曲連続で歌い切ったら200万円が貰える人気企画に挑む。
(各曲のレベルはオマージュ元に準拠。オマージュ元未登場の曲は某まとめWikiの予想曲リストを参照して掲載)

  

ナレーション「続いて、タテルが挑むレベル4」

  

〜LEVEL4〜
①オレンジ/SMAP
②手紙/back number
最愛/福山雅治
BEAT/河村隆一
⑤六本木〜GIROPPON〜/鼠先輩

ドアノブ「ギロッポンギロッポン」
タテル「バックナンバーサンカラ!テガミ!」

  

ドアノブ「お前ごときがback number歌うな!」
濱内「いいじゃないですか誰が歌っても」
山家「イカつい風貌。プロレスラー?」
ナレーション「細かな音程の揺らぎに注意」

  

事前録音「東京テレビ『最強ラーメン伝説』のラーメン審査において、あの大勝軒の山岸氏や支那そばやの佐野氏ですら合格出しているのに、1人だけ1回も合格出さなかった男」

  

タテル「どうも、髙田延彦です。俺を唸らせるラーメン、出てこいや!」
ドアノブ「うわあ、全然強くなさそう」
大吾「一発殴ったらすぐ死ぬキャラや」
タテル「美桜ちゃん(京子)、お前が一番美味いと思うラーメン、出てこいや!」
大吾「出てこいや、を雑に扱うな」
京子「あ、この前町田の外れで食べた塩ラーメンが美味しかったです」

  

———

  

年末も迫ったある日、京子は久しぶりにロングドライヴがしたいと言い出した。丁度タテルも町田にある祖父母の墓参りに行きたかったため、町田の塩ラーメンの名店「進化」を訪れることにした。
「タテルくん、せっかくだからTO-NAのメンバー誘わない?」
「誘いたいけど、俺の墓参りについて来させるの悪い気がする」
「別にいいんじゃない?タテルくんのおばあちゃんも喜ぶと思うよ」
「なら呼ぶか」
「マリモが一緒に行きたがってたよね」
「満を持しての登場か。良いだろう」

  

「マリモちゃんおはよ〜」
「嬉しいです、お2人のラーメンウォークの御供ができて」
「私もめっちゃ楽しみにしてたから。タテルくんも早く誘ってくれれば良かったのにね」
「マリモは泳がしておくと面白いかなー、って」
「勿体ぶらないで下さいよタテルさん」

  

東名高速を直走り、まずはタテルの祖父母の墓を訪れる。神連チャンでは悪態をつくタテルも、普段は家族想いのいい奴である。
「じいちゃんばあちゃん、俺は国民的アイドルグループの運営をやってます。今日は自慢のメンバーを1人連れてきました。お嬢様なのに倹約家で言動が個性的な面白い子です」
「マリモです。タテルさんとはアイツコイツと呼び合いながらかき氷を食べる仲です」
「そして自慢の恋人もできました。ちょっぴり天然だけど格好良くて愛らしい、同い年の俳優さんです。恋なんてする気も無かったのに、彼女といる時間はすごく楽しいのです」
「佐藤京子です。タテルさんにはいつも癒されています。ちょっと強く当たる時もあるんですけど、それもまた良いな、なんて思っています」
「俺も少しは社交的になれたかな?大変な1年でしたけど、みんなのお陰で乗り越えられました。これからも僕のこと、応援してください」

  

進化へと向かう道中には淫山がある。
「SASIKOのセットありますかね?メイさんが挑戦した」
「収録終わったし、一旦解体されてると思うけど」
「…ありましたありました!」
「すごい。マリモちゃんはメイの結果知ってるの?」
「未だ知らされていないです」
「俺は見届けたけどね、まだ言わない。まあ楽しみにしてて」

  

店に到着。最寄駅の小田急線鶴川駅からは1km強離れており、車でのアクセスがメインである。だがハナマサなどと駐車場を共有しており、満車で停められない状態であった。タテルだけ車を降りて先に並ぶことにした。

  

14時近い時間であったが、前には2人組が待機していた。元々2人テーブルが空いていて、さらにカウンター席から1人が退店し3人横並びになれる状態となり、カウンター席に案内される心算をしていたところ、2人組の方がカウンターに案内され、3人は4人テーブルが空くのを待たされることになった。

  

「タテルくん、前も来たことあるよね」
「2年くらい前ね。まああんまりだったかな、って感想」
「厳しいですねタテルさん」
「あの時はラーメンの経験値も低かったし、この店は本店とはまるっと違う塩ラーメンらしいからな。きっと美味しくいただけるよ」

  

その塩ラーメン。スープは塩のダイレクトな味の後に名古屋コーチンのまろ味が来る。上品かガツガツ系か、と言われると後者である。

  

麺は2年前の本店とは違って、味を纏いやすい手もみ麺。だがスープとの相性が良いかと言われると疑問符がつき、特製トッピングのチャーシューの香ばしさがスープの香りをマスキングしてしまう。
とはいえ具材自体は悪くなく、豚チャーシューは濃いめの味。フルーティさ、もっと言えば高カカオチョコレートのような強ささえある。鶏チャーシューはブラインドでは肉と判別しづらいくらいかなり柔らかい。味玉はちょっと酒のような味がする。

  

「美味しかったです〜」
「美味しかったねマリモちゃん」
「楽しんでくれて何よりだマリモ。もしかしてこの後、かき氷食べに行く?」
「さすがコイツさん。よくお解りで」
「京子とアイツ、2人揃ったらかき氷行くの確定でしょ。俺も同行して良いよね?」
「勿論ですとも」
「やった〜!」

  

———

  

タテル「進化か?俺からしたらまあまあだ。参った、とはならない」
京子「何でですか…」
タテル「理由なんて言うまでもない。大体ね、最近のラーメン高すぎるんだよ!1杯1000円は下らない、なのに大して美味くねぇ!何だかよくわからないこだわり並べてよ、もっとシンプルに作れねぇのか!」
大吾「髙田さんそんなこと言わんやろ」
山家「そもそもラーメン詳しいイメージ無いですよね」
タテル「もっと安くて美味いラーメン、出てこいや!出てこいや!出てこいや!しゅららぼん!しゅららぼん!しゅららぼん!」
大吾「スタッフ止めろや。シンプルに怒られる!」

  

京子「はい、私が作るサッポロ一番味噌ラーメン、辛くしておいたよ」
濱内「奥さんの顔」
大吾「インスタントやけどな」
タテル「食ってやる」

  

〜京子と固く握手を交わすタテル〜
タテル「参った!うめぇ!」
京子「でしょ〜。私のラーメンにケチつけたら許さないからね」
タテル「ケチつける訳無いだろ。亜紀の作るラーメンが世界一うめぇや」
京子「亜紀…?セカチューの?」
タテル「違う違う。お前どんだけ長澤まさみさんのことが好きなんだ」
京子「いいじゃん別に」
タテル「まあいいんだけどね。ウフフ」

  

ナレーション「モノマネを忘れたタテルのレベル4、果たして?」

  

ドアノブ「やるならやれよ最後まで」
大吾「ただのノロケ見せやがって」
〽︎あなたはずっと手を振って笑ってくれた…
濱内「やっぱ格闘家の方って歌上手いんですね」
ドアノブ「格闘家じゃなくなっとんねん。ただのノロケ素人」
大吾「無芸のくせにな」

  

〽︎愛されている事に…
ドアノブ「似合わんな、back numberの曲」
濱内「いいじゃないですか、誰がback number歌っても」

  

〽︎ちゃんと返したい事 いつか歌にしよう
タテル「よっしゃあ…」

  

〜感極まるタテルと京子〜
山家「なんで泣いてる?」
タテル「なんか泣けますね。TO-NAのメンバーは親元離れて頑張ってるから、メンバーのこと思うともう…」
京子「タテルくん本当はすごく優しい人で。祖父母のお墓参りもちゃんとするし、自分を犠牲にしてまでTO-NAのみんなを守ってくれるんですよ」
おかまたち「これがTO-NAを守る漢気です」
ドアノブ「強く言えんくなるやん、そんなこと言われたら」
大吾「普通に歌えばええやん。ほんなら俺何も文句言わん」

  

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