連続百名店小説『クイズアイドル 永遠に』第2問:今年の話題でクイズしようぜ!(ソングバードコーヒー/二条城前)

人気女性アイドルグループ・TO-NAにおけるクイズスターであるコノが卒業を発表した。その卒業制作として、過去2回挑んできたクイズ旅「プレッシャーSTEADY」を地元京都で撮影する。コノと共に挑むのは、東大卒プロデューサーのタテル、そしてTO-NAのニュークイズスター候補であるカコ、レジェ、ニコ。果たして一行はノルマをクリアして日本一の中国料理にありつくことができるのか。

  

「はあ、腹減った……」
「朝ご飯食べないからですよタテルさん」
「着いてからいっぱい食べようと思ってさ、我慢しちゃったよね」
「近くに百名店のカフェあります。そこで何か食べますか?」
二条城前の大通り(堀川通)を少し北進した場所にあるカフェ。京都内外の焙煎人が手がけたコーヒー、カレーやサンドウィッチといった軽食が主力商品である。
「カレー、惹かれるなあ」
「もうちょっと京都っぽいもの食べたいですよね」

  

「京都っぽい、って何だろうね」
コノが疑問を呈する。
「和食……とか」
「でもパンの消費量はトップクラスだよ」
「餃子の王将も天下一品も京都発ですし」
「お好み焼きもよく食べるって、テレビで観たような」
「おばんざいや日本茶のイメージが強いけど、それだけが『京都らしさ』じゃないと思ってる」
「京都のカレーだって、いつかはブームになってステータスになるかもしれない。とにかく腹減った、入ろう」

  

2階に上がると2割程の客入りであり、余裕で窓際のテーブル席に滑り込んだ。メニューを眺めると半分くらいが品切れとなっていて面食らったが、目当てのカレーはゆで卵のせとチーズトッピングが残っていた。
「セットドリンクは……コーヒーが無いですね」
「ホントだ。まあ暑いしアイスティーかな。コーヒーはホットで飲みたい」
「甘酒ラッシー、飲みたかったな〜」
「サラダも無いんですね。ちょっとお野菜欲しかった」

  

注文を済ませ、この後の移動手段について議論する。
「地下鉄って2路線だけでしたっけ?」
「そうそう。烏丸御池ってとこでしか交差しない。有名観光地の近くもあまり通らないね」
「じゃあ市バスは?」
「いっぱい走ってます!メインはバスですね」
「近くのバス停は……」
「その前に百名店の和菓子屋さんありますね。後で食べる用に買いに行きます?」
「そうしよう。だとバス停は、文化庁前か」
「東京から移転してきたことでお馴染みの文化庁」
「出題場所、文化庁ならラッキーですね」
「いや、まだ休みだから人いないかもしれない」

  

アイスティーは、変な喩えではあるが午後の紅茶のような味であった。勿論既製品ではないのでご安心を。

  

カレーは西部劇のガンマンみたいな雰囲気に満ちている。ハーブ(?)のシャキシャキ、フライドオニオンのサクサク。ルーにはコクがあって程良くスパイシー。チキンは傍に添えられていてしっとり解れる。皮はご馳走なので最後にとっておきたい。茹で卵は半熟だが、冷たくてカレーと馴染めていなかった。
「ああ、卵落としちゃった!」
「大丈夫ニコちゃん⁈」
「テーブルで留まったのが不幸中の幸いです……」
「たしかにころんころんしてるな。下ろす時は注意だな」

  

カレーを食べ終え、2問目の出題場所を決めるくじを引く。
「平安神宮行きたいです〜」
「レジェは神社好きだもんな」
「靴脱ぐのだけは勘弁してください」

  

選ばれた場所は東福寺であった。
「東福寺?どこですか?」
「紅葉の名所だ。通天橋でお馴染み、敷地内に渓谷がある」
「景色良さそう。でもそうなるとかなり外れの方に?」
「東福寺は京都駅から1駅だね。バスでも行けるんじゃないかな?」
支給された市バス路線図を確認すると、文化庁から東福寺まで1本で行けることが判明した。
「あとは本数ですね」
「バスは本数多いから安心して。待てば来るよ」
「まあ乗車時間は長そうだから、気持ち急ぎめにしようか」

  

そう言っておきながら、しれっとコーヒーのテイクアウトを頼んでいたタテル。正月限定で京都の焙煎人が拵えたブラジルコーヒーは、苦味や酸味の主張が皆無でサラサラと、でもコクがある。これぞ京都、と言いたくなるバランスの良い味作りである。

  

「やってるかわかんないけど栗菓子の店と麩饅頭の店行って、文化庁前バス停でバス捕まえよう」
実際向かってみると、栗菓子の店は営業していたが、麩饅頭の店は長めの正月休みで閉まっていた。
「片方だけでも確保できて良かったですね」
「東福寺周辺に手頃な百名店は無いから、クイズ終わったらすぐ食べよう」
「はい!」

  

バスは5分弱で到着した。この辺りは外国人観光客も少なく、混雑は程々であったが、レディーファーストを心がけるタテルはメンバーを席に座らせる。右最前列の席が空いたので座ってみると、市バス路線図が掲示されていたため夢中で眺める。右折して東大路に入ると、祇園や清水で外国人観光客が多数乗車し混雑する。東福寺まではのべ40分程度の乗車であった。
「コノさん、卒業を決心した理由伺っても良いですか?」
「そうね、まずは年齢。30になる前には卒業する、ってずっと決めてたんだ」
「節目ですもんね」
「その上で、独り立ちしてもやっていける自信をつけたくて。私を指名して起用してくださる方々の期待に応えたくて、個人仕事にも全力で取り組んだらクイズとラジオに活路を見出したんだ」
「小1クイズの完全制覇は痺れましたねぇ」
「ラジオイベントも終始笑いっぱなしで楽しかったです」
「ありがとう。こっからは自分の実力を試したい。もう甘えてらんないな、と思って卒業を決意したんだ」

  

病院の前にある東福寺のバス停で降りる。ここから境内へは10分弱の徒歩である。道中では早速渓谷を見渡せる橋(臥雲橋)を渡ることになる。ここでのミッションは、有料エリアである本坊庭園(方丈)の観覧、同じく有料の通天橋を渡り切って開山堂まで到達する、の2つである。

  

先ずは方丈から。またもや靴を脱いで上がる。
「うぅ〜、足冷たあい!」
「再放送」
「たしかに冷たいけど」
「ニコちゃんは冷たくないの?」
「私はへっちゃらです!氷水に足浸しながら勉強しているので!」
「え⁈ライヴの合間にやるやつじゃん」
「いつもやってんの⁈」
「気合い入れる時だけですよ。頭がシャキッとするのでお勧めです」
「いやあ、真似できないな」

  

龍安寺のイメージが強い枯山水の石庭だが、東福寺においても名物である。入って左手に見える南庭には蓬莱石組という特徴的な石組がみられる。

  

だが東福寺方丈で一番の見ものといえば市松模様の北庭と西庭である。北庭は小さめの正方形が敷き詰められた市松模様で、チェスを指したくなるような西洋的な趣を感じる。

  

西庭は1つ1つの正方形が大きく、まさに東福寺でしか観られない唯一無二の庭園と言えよう。京都駅や祇園等から少し離れた場所であるためか外国人は少なめで、その少ない外国人も確と目的意識を持って訪れているから、喧騒を忘れじっくりと観覧できる。

  

レジェの足が冷たさに耐えられなくなったため通天橋に移動する。橋は思ったより長く続いていて壮観。

  

洗玉澗は紅葉であれば息を飲むような絶景となるのだろうが、枯れ木の中では魅力も半減である。下に降りることもできるが、烏が多すぎて身の危険を感じ断念。オフシーズンの東福寺においては、オーバーツーリズムよりも烏の方が厄介な存在である。

  

橋を渡り切り右に行くと、東福寺の最高地点である開山堂に到着。重要文化財のため内部には入れないが、縁側のようなところに腰掛けて一休みする。
「みんなの修学旅行先って京都だった?」
「はい。みんな京都ですよね」
「京都だとどこ行くのかなみんな?」
「清水寺とか金閣寺とか」
「自由行動だった?」
「いや、決められてました」
「タテルさん自由行動だったんですか?」
「そうだよ」
「羨ましい!」
「俺の班は三十三間堂、清水寺、伏見稲荷、の順に巡った。昼飯に和カフェ行こうとしてたけど、店見つけられなくて結局冷やし飴しか口にしなかった」
「冷やし飴、また渋いチョイスですね」
「美味いけどね。関西らしさあるし」
「そういう気紛れの旅も良いですよね」
「それこそこれも成り行き任せ旅だもんな」
「すごい楽しいです」
「歳を重ねると、寺社仏閣巡りの魅力解ってきますよね」
「何しろ私達にはコノさんがいます!」
「大好きなコノさんとの旅、百倍楽しいですぅ」
「よ、京都美人!」
「恥ずかしいよ」

  

本堂に戻ってクイズに挑む。教科は社会。

  

今年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』に登場する人物の名前を答えなさい(「?」の数と文字数は必ずしも一致しない)。
①演:小栗旬 桶狭間の戦いで勝利 本能寺の変で自害 織田??
②演:松下洸平 関ヶ原の戦い東軍主将 江戸幕府初代将軍 徳川??
③演:要潤 本能寺の変を引き起こす 山崎の戦いで戦死 明智??
④演:松本怜生 秀吉に仕える 関ヶ原の戦い西軍主将 石田??
⑤演:尾上右近 室町幕府15代将軍 銀閣寺の開基 足利??
⑥演:仲野太賀 今作大河ドラマの主人公 秀吉の弟 豊臣??
⑦演:菅井友香 前田利家の正室 11人の子を産んだ ??
⑧演:井上和 浅井三姉妹の長女 秀吉の側室 ??
⑨演:佳久創 築城の名手 ⑥の人物に仕えた 藤???
⑩演:菅田将暉 軍師 斎藤龍興→秀吉の参謀 竹???

  

「うう、わからない……」
1番手のニコは苦虫を噛み潰したような表情で⑤の足利義昭を解答。

  

「8ば〜ん。ちゃ・ちゃ(茶々)」
前問に引き続きぶりっ子で涼しげにファインプレーを決めたレジェ。しかし続くカコは④の石田三成で精一杯だった。

  

一般人ゾーンでは中年女性が⑥の秀長を、石原良純似の男性が⑨の藤堂高虎を答えるなどして、⑦と⑩が9番手タテルに残された。

  

「⑩わかんない……たけち半平太。違うよね。え待って、ダメだ。ほまごめコノ、⑦のまつ!」

  

「ダメだもうわかんない……どうしよう。竹田、竹村、竹内……ああ!」

  

第2セットは失敗に終わった。⑩の正解は竹中半兵衛(重治)である。
「厳しかったなあ。誰も知らなかったですもんね」
「無理ゲーだった!だいいち俺もコノも理系だから歴史そこまで詳しくない。それに豊臣ってあんま京都関係ないし」
言い訳を喚くタテルをよそに、本気で反省モードに入るコノとニコ。15分前に口にしていた「楽しい旅」が嘘めきだした瞬間である。

  

その他正解
①信長、②家康、③光秀。⑧は淀殿でも可

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です