「あけましておめでとうございます!TO-NAのコノです。私は今、地元京都に帰省中です。見てください京都駅、すごい賑わいですね!」
世間一般における正月休みの最終日、京都駅は人、殊に外国人でごった返していた。オープニングを撮るスペース探しにも一苦労であったと云う。
今回のロケは、クイズ修行企画『プレッシャーSTEADY』の第3弾。過去2回、現TO-NAプロデューサーのタテルと共に挑戦し、途中苦悩はしたが見事大団円を迎えていた。今回の舞台はコノの地元・京都である。
「昨年末に発表しました通り、私コノは2月のライヴをもってTO-NAを卒業します。そのためプレステに挑むのもこれが最後です。いやあ、いっぱい泣きましたね初回は。自分のミスで寿司を逃した時のあの苦しみ、今でも堪えます。そんなハードな企画をね、なんと後輩ちゃん達が引き継ぎたいと。もうすぐ到着するみたいなので、新幹線改札内に入ってお出迎えしましょう!」
東京および神奈川の実家に帰省中だった面々が、正月休みを少し早めに切り上げて京都ロケに参加する。
「カコちゃん、レジェちゃん、ニコちゃん、そしてTO-NAプロデューサーのタテルさんです。ようこそ我が地元京都へ!」
「いやあ、新幹線で2時間強って意外と怠い」
「着いて早々文句言わないでくださいタテルさん」
「飛行機の速さ知ると、そう思うのも仕方ないですよね」
「フォローしなくていいよニコちゃん」
「ニコちゃん本当に真面目で、ずっと国宝の本読んでました」
「映画観て興味湧いちゃって」
「死ぬる覚悟を〜」
「そんな暇ないです!早くルール説明を」
ルール
・京都市内にある食べログ百名店を1軒満喫する度に1セット、プレッシャーSTEADYへの挑戦権を得られる。手元のマップ付き資料を使って訪れる店を検討すること。
・クイズを実施する場所は1セット毎にくじで決定。京都市営交通でアクセスできる範囲の人気観光地がピックアップされている。そのため移動も原則市バス・市営地下鉄のみを利用のこと。
・出題場所に到着してミッションを遂行した後、誰でも良いので周りの人を5人集めたら出題。
・1セットには①〜⑩の10問が入っている(一部例外あり。その際は出題時に別途ルール説明)。予め定められた順番で1人1問ずつ回答し、10番目の人が正解すればそのセットはクリア。
・クリアにせよ失敗にせよ、1セットを消化するまでは次の百名店を訪れてはならない(テイクアウトできる店の場合、買い溜めしておくことは可能)。ただし初日は18時に日本料理店(百名店のため出題数にカウントされる)の予約が入っているためそこで出題は打ち止めとなり、翌10時までは出題を保留しておくことができる。
・10時よりゲームスタート。翌日19時までに7セットクリアしてゴールに辿り着けば、日本一の中国料理店での食事を獲得できる。
「2日間で7セットか。出題場所や問題の難易度にもよるがハードな気がする」
「ざっと1日何軒くらい行きます?」
「和菓子屋さんや甘味処を中心に巡って、1日5軒か6軒?」
「バーも多いんだよな。夕食の後ハシゴしたいね」
「あれ?新幹線京都駅店、なんて店があります」
「実は1軒目、もう私たち並んでいます」

帰省中であった地元民コノが態々新幹線改札内に入ったのは、そこにある百名店の甘味処に初手で訪れるためであった。開店は10時であるが、その15分前にコノが店前にポジショニング。間も無くやってきた関東勢を寄せ付けて、先客の老夫婦に次ぐ2番手を確保した。
10:00丁度に開店、そしてゲーム開始である。先頭の老夫婦は善哉を頼んだが、時間がかかると言われ注文を変更していた。彼らのように新幹線待ちの短い時間で訪れる客が多いことから、入店時に店員が急ぎか否かを訊いてくれる。世にも珍しいファストフード甘味処である。
「私達も早く出た方が良いですよね」
「それに越したことは無い」
「並んでる時に見たんですけど、花びら餅が気になりました」
「花びら餅ね。お正月ならではのお菓子。私も毎年食べてる」
ただメニューブックには花びら餅の記載が無く、店員に確認してみると上生菓子に該当するとのことであった。抹茶とセットで1,300円である。

味噌餡と牛蒡を餅で挟んだ花びら餅。餅が兎に角美白で柔らかい。楊枝の使い方が下手くそなタテルは手掴みでガブリと噛み付くが、こうした方が味噌に牛蒡の土っぽさの溶け行く様を感じやすいものである。

抹茶は、この後一行が飲むことになるものと比べると平板なものであった。
この店の銘菓である丹波黒大寿(黒大豆)のしぼり豆もセットでついてきた。真っ新な口では味を感じにくいが、コクのある餅を食べた後に口にすると、それに触発されて黒豆の香ばしい味わいが明確になる。初手から京都の雅な和菓子を堪能して、ここから始まる旅への期待感を高めることができた。
早速最初の出題場所をくじ引きで決める。
「できれば近場で。京都タワーとか」
選ばれたのは二条城であった。京都駅からは少し距離がある。ここは地元民コノの意見を参考にしてみる。
「二条って駅あるよね?」
「あります。JRと地下鉄」
「どっちで行った方が早く着ける?」
「地下鉄は大回りで乗り換えもあるので、JRで行くのが普通ですね」
「あれ?市営交通以外はNGのルールが…」
「いいんだよ1回くらい。俺らの切符は京都市内どの駅でも降りられるからさ、JRの方が早いのならJRで」
「でも…」
「JRの車両にも乗りたいし、いいじゃん。ね?お正月だよ?」
圧に押されたスタッフは渋々JRの利用を許可した。タテルは地元民コノを差し置いて、二条へ繋がる嵯峨野線ホームへ走り出し実況を始める。

見てくださいホームの番号。33番ですよ?こんな大きな数字見たことあります?東京駅でも20ちょっとですよ。しかも始まりの数字0だし。実際は30何本もホームがある訳ではないらしいですけどね。まあいいや、降りてみましょう。ついてきてるかな皆……

おっ、なんと34番までありました!降車用ホームだから案内が無かったのか。あ、そしてこの30番線はなんと、0番ホームと繋がっています。

2つ繋げて558m、日本一長いホームとなっております。0番はサンダーバードなので敦賀の方まで、30番ははるかなので関空行き。歩き通したいところだけど体力温存のため自粛。
さあ愈愈列車に乗りましょう。方向幕の「普通」の字、かっちょええよな。隣の車両は方向幕がグルグルしてます。関東ではすっかりLEDが主流の中、これは風流。同じ「普通」でも色々ありますね。路線毎にアルファベットとカラーが充てられていて、確か嵯峨野線は紫だったからここで止ま…る!やった大当たり…
「タテルさん何やってんですか!」
「あっ……鉄オタの血が騒いで…」
「勝手なことしないでください。チームプレーですよこの企画」
「失礼しました!」
新年初暴走を犯しカコに怒られたタテル。TO-NAらしいわちゃわちゃである。コノは呆れつつも、もう何回も見られないこの光景を有難く眺める。
天橋立や舞鶴に向かう特急が遅れていた新幹線との接続をとったため、定刻より5分遅れで発車。約7分で二条駅に到着した。
「え?二条城まで2km近くある……」
「結局歩くのかよ。地下鉄にすれば良かった!」
スタッフを脅した天罰が降ったタテル。一行は早速二条城入口方面へ歩き出す。二条城自体は間も無く姿を現すのだが、それは敷地の奥の方であり、入口まで回るとなるとのべ2km弱の徒歩が必要となる。
「あれ?二条城前駅がある!」
「二条に地下鉄ありましたよね。地下鉄乗れば良かった……」
「しくった。地下鉄の存在とか考えるべきだったな、焦っちまった」
「しっかりしてくださいタテルさん」
「私もごめん。二条城あまり行ったことなくて、力になれなかった……」
「落ち込まないでください、コノさん」
「切り替え切り替え!ミッションは?」
「二の丸御殿で大政奉還の展示を観る、と本丸御殿の入口まで行く、の2つです」

チケット(入城+二の丸御殿観覧で1,300円/人)を購入して内部へ。やはり外国人中心に観光客が多いのだが、観覧に影響があるほどの混雑ぶりではない。二の丸御殿内部は撮影禁止であるため、声のみお届けする。

「あ、歩くとギシギシ言いますね」
「かの有名な鶯張りですね」
「流石ニコちゃん、よく調べてる!」
「人がいっぱい……」
「おっ、あそこ空いてる!先行っちゃおう!」
「え、ちゃんと見た方が…」
「ここからでも見えるぞ。あまり時間ない、見やすいとこだけぽんぽん見てこうぜ」
最初に現れるのは遠侍といって、来殿者の待合室のようなものである。金色の襖には竹と虎が描かれている。将軍への取り次ぎの場である式台を過ぎると大広間が現れ、徳川慶喜が重臣達に大政奉還の意を伝達する様が展示されている。すると一行へ、スタッフから資料が渡される。
教科書でよく見る邨田丹隆作のこの絵、一見すると慶喜が大政奉還を伝えた場面、のように見えますが実際は違うようです。襖を見てください。大広間は見渡す限り松のみ描かれていますが、この絵には桜が描かれていますね。先進んでみましょう。
桜が描かれている襖があるのは、将軍に近しい人だけが将軍と対面できる部屋・黒書院(小広間)。
旧暦10月12日、ここ黒書院にて慶喜が大政奉還を役人や大名に伝達しました。絵、そしてさっきの展示にあったような儀式ですね。その翌日、大広間に藩の重臣が集められ、慶喜は表に出ずに大政奉還の意向が公的に伝えられました。10月14日に大政奉還上表が朝廷へ提出され、翌15日に天皇が受諾。これにて大政奉還となりました。
「あの絵はデフォルメだった訳か」
「大政奉還、という行為自体は結構地味なんですね」
「正確に物事を捉えるのって難しい」
「それにしても足が冷たい」
「あらあらレジェ、薄いニーハイ履いてくるから」
「靴脱ぐとは思わなかったんです!」
「冬の京都はタイツじゃないと寒いよ」
「そう?俺なんて上着すらないのに結構暑い」
「それはもっとおかしい!」
白書院にて折り返し。裏から黒、大広間、式台、遠侍と戻り、二の丸御殿を後にする。

続いては二の丸庭園へ。撮影は解禁されたが、人が写り込んでしまうので風情のある写真は撮りにくい。

庭園を抜けると本丸御殿への入口である。本丸の見学には事前予約が必要なためこの先には進めない。2つの指令をクリアしたため、後は周りの観光客を集めクイズに臨むのみである。

「回答順はどうします?」
「プレステは序盤の解答者が気負いなく難問を選んで答え、クイズスターへのマイレージを貯めていくのが魅力だ。だから先頭3人をニコ、レジェ、カコという順番にする。一般参加者を挟んで、9番手が俺、アンカーをコノとしよう」
「わわ、私がアンカーですか⁈」
「有終の美を、自分の手で飾ってもらいたい」
「プレッシャー……」
「大丈夫です。先ずは私達が難問片付けますので!」
「最後の方①②が残って、タテルさんコノさんには役不足だね〜、なんて言わせてみせますよ」
「頼もしいねニコちゃん」

門を出て賢そうな日本人観光客5人を集め、愈愈第1問。教科は定番の国語である。
「ひ」で始まる漢字の読みを答えなさい。
①東
②左
③向日葵
④悲喜交交
⑤贔屓
⑥柄杓
⑦柊
⑧羆
⑨跪く
⑩偏に
「ちょっと粘ってもいいから。チャレンジ精神だよ!」
コノの声かけで士気を高めた後輩メンバー達。一番手のニコが早速⑩を潰しにかかる。
「ひ……に、ひ〜に、ひに。え〜、ダメだわからない!ごめんなさい⑦で、ひいらぎ!」
続いてはレジェの番。
「9ば〜ん。ひ・ざ・ま・ず・く。やった!」
あざとかわいくファインプレーを決める。どうやらコイツは只者ではない。
真面目カコも⑧の「ひぐま」をノリで当てることに成功。⑩を残したまま一般人ゾーンに突入するが、⑥から降順で答えられ不安が募る。①②⑩を残して、8番手の中年男性に順番が回る。
「じゃあ⑩を答えましょう。ひとえに」
「助かった!じゃあ①で、ひがし」
「何で②を残すんですか」
「やくさんのよくやること」
「ありますけど。②はひだり」
宣言通り新参者達が難問を開け、ラスト2人に易問が残る理想の展開で手堅く1問目をクリア。
「いやあ本当助かりました」
「私、京都大学で教授をしておりまして」
「すごい人と会えた!」
「貴方が居なかったら失敗でした、救世主です!」
「お役に立てて何よりです」
「その他の皆さんも良きところ開けてくださりました。皆さんのご協力、大変感謝しております」
「カコ、レジェ、ニコもナイスファイト。当たり前に答えられる問題ではなかったからな」
明るい雰囲気に包まれる二条城前の一行。しかしニコは独り冴えない表情をしていた。
その他正解
③ひまわり、④ひきこもごも、⑤ひいき、⑥ひしゃく
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