連続妄想食べログ小説『クイズ王街道、驀。』Q5:赤目魚の天ぷらが食べたい。

東大卒の肩書きを活かしクイズ番組でも大活躍するグルメタレント・TATERU(25)が、「宮崎美子の再来」と持て囃される気鋭のクイズアイドル・カゲ(綱の手引き坂46)と繰り広げる東北1泊2日の旅。

「問題。『てんぷら』とぃ…」
「ポルトガル語!」
「正解。はぇーな…」
もはやタテルはマウントをとれるような問題を出すことすらままならなかった。
「あの、天ぷらの語源って諸説ありますよ、シンプルに日本語由来の説もあるので問題としてはちょっと…」
追い討ちをかけるようにダメ出しをするカゲ。それもそのはず、カゲは西大后の大スター・佐藤光を輩出したどぅんつくぱ大学附属高校のクイズ研究会に属し、主に作問を担っていた。クイズ1問にかける情熱は、タテルのそれを大きく上回るのだ。

「じゃあ今から天ぷら食べに行こう…と言いたいところだけど」
目的の店は定休日ではなかったのだが、タテルは青森での失敗を反省し、営業しているか逆め確認することにした。すると誰も電話を取らない。
どうしても天ぷらを食べたいタテルは食べログの口コミをチェックした。忙しくて電話を取れないだけ、という説もあり得ると踏んでいた。
住まるかバスに乗るか。気分はまるでバス旅だ。
「(Zのあるよさんと成田先生は大体乗らないで失敗している…じゃあ乗るのが正解だ!)」
2人はバスに乗った。

成沢西で下車し意気揚々と歩いてきた2人を待ち受けていたのは、臨時休業の張り紙であった。賭けに負け崩れ落ちるタテル。

「タテルさん、らしくないですよ。他のお店探しましょ。あ、この先のお茶屋さんに、タテルさんの好きな抹茶ジェラートあるみたいです」
「失ったバス代を成仏させるためだ。行こう」

お茶が多数並ぶ店内にジェラートのショウケース。タテルがよく行く浅草の店を彷彿とさせる、6段階の濃さの抹茶ジェラートが連なっていた。
「浅草の店だとレベル7だけ高いからレベル6がお買い得。でもここは全レベル値段が違う。よおし、MAXにしよう」

しかし若干の雑味を感じ、抹茶本来の濃さを直に味わうことはできなかった。共に載せてもらったほうじ茶ジェラートも普通だった。口溶けが悪く喉に引っかかる。水分量の問題だろうか。

そこに山形駅方面へ行くバスの時間が迫っていた。カップ片手に急いで乗り込む。
「代替候補の百名店はあるから。天ぷらも食える。ただやってるかどうか何も信用できない…」

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