超大型連続百名店小説『世界を変える方法』第2章:言論の自由を健全化しよう 4話(四川飯店/永田町)

かつてカリスマ的人気を集め社会を変革しかけたアイドルグループ・檜坂46。同じく革命を目論んでいるフランス帰りの男・カケル(21)に招かれ、今再びこの国を変えようと動き出す。
*この作品は完全なるフィクションです。著者の思想とは全く関係ありません。こんなことしようものなら国は潰れます。

  

カケルと檜坂メンバーcbf・skmr・naは、サイバー攻撃でてんやわんやのヤホー本社に程近い、全国旅館会館内の四川飯店でランチをしていた。
「カケルさん、すごいことになってますね」
「大騒ぎになっているね。まあそうなるわな」
「見ました?犯行声明文、怖いですよね」
「ヤバいよね、言論の自由への挑戦というか」他人事のように喋る、声明文の送り主カケル。

  

!!!ATTENTION!!!
ヤホコメと見栄袋はアパーランドの皇帝が乗っ取りました。返して欲しければ要求をのみなさい。
ヤホコメや見栄袋に集まる輩は人ではありません。害獣です。具体的な問題点を挙げましょう。
・人でなしなので平気で人に悪口を言います。人であれば誰しも、人の悪口を言っちゃいけないんだよ、などと教わってきたはずです。なのに何故ここでは許されるのか。大人として恥ずかしくないのでしょうか。
・間違った思い込みや曲解、主観的すぎる考えや憶測を基にした批判が多すぎます。我々は「嘘をつくな」と教育されてきたはずなのに、なぜ嘘をこんなにも公にするのでしょうか。
・悪口の中には明らかな差別的発言も目立ちます。これを放置することは、国際社会の一員として恥ずべきことです。
・「多様な意見を表示する」と謳っていますが、トップに出ているのは大半が極右の排外思想です。ヤホーは全体主義の回し者でしょうか。
このまま放っておけば、行動力のある有能な人々が口だけの無能に潰され、この国は衰退していく一方となります。そして長く苦しかったあの軍国主義へ逆戻りですね。害獣は退治しなければなりません。この国を代表する企業として、以下のことを約束してください。
・誰かを貶すような発言は即刻削除するか問題箇所を自動的に伏せ字にする仕組みを導入する。ただし犯罪者に対する罵詈雑言はこの限りではない。
・ブロックできるアカウントの数に上限を設けているが、何のためにあるのか理解不能。問題のあるアカウントは上限以上にあるため、上限は撤廃する。
・アカウントへのログインには顔認証を要求し、ヤホコメや見栄袋へ書き込みをする際は都度顔認証を要求する。問題のある発言をした者はアカウントを凍結し、悪質な場合は警察に顔写真を提供する。
・ヘイトを扇動するような記事をヤホーニュースに載せない。特にごく少数派の意見を切り取って書かれた『○○に批判の声』などというタイトルの記事は無条件で掲載拒否すること。
もし約束できないようであればヤホー全体を潰します。国内のみならず世界中に影響出ますよ。この国の平和を守るため協力してくださいね。

  

「ヤホーは要求呑むと思う?」
「呑まないでしょうね」
「警察が上手く解決してくれますよ」
「でも不気味なんだよな、1日経っても復旧しないというのが」

  

ランチセットが到着。四川飯店を象徴する麻婆豆腐は、故陳建一氏曰く「焦げる一歩手前」まで炒められ旨味が凝縮する。市井のシャバシャバ系なんちゃって麻婆豆腐とは一線を画し、一口頬張っただけで白米が茶碗の半分量持っていかれる。
「辛いけど美味しいですね。ご飯が止まらない…」
「もう他の店の麻婆豆腐食べれないかも」
「それは言い過ぎだぞ、na。そんなこと言うなら一生ここ以外の麻婆豆腐食うな」食リポには滅法厳しいカケル。

  

料理を2品選べる方のランチセットにしたため、カケルはもう1品「豚肉の細切り炒め」をいただく。四川料理らしく辛く炒められていて、肉に味がしっかり染みているからやはりご飯を消費する。あっという間に茶碗が空になり、よく食べると判断されたためかおかわりは櫃でやってきた。店員の期待に応え、4人は見事櫃2つ分の白米を消費した。

  

「素晴らしいね。おかずが選べるタイプの中華ランチセットでは最高峰だと思うここは」
満足げなカケルの元へ、ネットワーク戦略室より連絡が来た。
「ヤホーが結論を出したようです。すぐ来てください」

  

「ヤホーは約束を呑まず、我々と闘う姿勢を明らかにしました」
「まあヤホーらしい決断だな。でもあれだけ無責任なヤホコメを放っておくのは罪だ。やっちまえ、バルスだ!」

  

こうしてヤホーニュース及び見栄袋は全データが削除され回復不能となった。
「素晴らしい、よくやった!だがこれはあくまでも序章に過ぎない」
「どういうことですか?」
「ヤホコメは死んだがヤホコメ民は死んでいない。奴等はSE○や3.5チャンネルに移って糞を垂らし続けることだろう。ここの言論も制限しないと平和は実現できない」
「なるほど…」
「次に行うのは、物を言える人を選別する仕組み作りだ」

  

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